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サイド・バイ・サイド:フィルムからデジタルシネマへ感想(ネタバレ)

サイド・バイ・サイド

原題:Side by Side
製作年:2012年
製作国:アメリカ
上映時間:99分
監督:クリス・ケニーリー
製作:キアヌ・リーブス
撮影:クリス・キャシディ
キャスト:マーティン・スコセッシ、ジョージ・ルーカス、ジェームズ・キャメロン、デビッド・フィンチャー、デビッド・リンチ、クリストファー・ノーラン、スティーブン・ソダーバーグ、ラナ・ウォシャウスキー、アンディ・ウォシャウスキー、ラース・フォン・トリアー、ダニー・ボイル、ロバート・ロドリゲス、リチャード・リンクレイター、ジョエル・シュマッカー、レナ・ダナム、バリー・レビンソン、ビットリオ・ストラーロ、アンソニー・ドッド・マントル、ウォーリー・フィスター、リード・モラノ、ミヒャエル・バルハウス、ヨスト・バカーノ、ビルモス・ジグモンド、ウォルター・マーチ、キアヌ・リーブス

あらすじ
映画の唯一の記録フォーマットだったフィルムが、デジタル技術の台頭により消滅しつつある現在の映画界を概観しながら、映画におけるデジタル技術の革命を検証するドキュメンタリー。製作を務めたキアヌ・リーブスが自らホスト役も務め、マーティン・スコセッシ、ジェームズ・キャメロン、デビッド・フィンチャーら大物監督や撮影監督、編集技師、特殊効果技師など映画制作者たちへインタビューを敢行。その証言から、映画制作の未来を探っていく。(映画.comより)


65点

今年は、「メリエスの素晴らしき映画魔術」や「これは映画ではない」や「アルゴ」など、映画についての映画がたくさん公開されましたね。映画ファンとして、映画の歴史や映画の持つ力について考えるきっかけになりました。そんな2012年の締めくくりとして今日レビューするのは、「サイド・バイ・サイド:フィルムからデジタルシネマへ」です。

全体の構成は、デジタル技術の台頭により、フィルムが消滅しつつあるという現在の状況を解説し、デジタル化に対する様々な映画制作者たちにインタビューを行うというものです。フィルムとデジタルの違いなんかもしっかり説明されているので、映画関係者のためだけの専門用語の飛び交うドキュメンタリーになっていなくて、素人が見てもおもしろかったですよ。
映画制作者たちは、映画のデジタル化に対して肯定派から否定派、中間派まで様々でした。しかし、それらの意見に対して、この映画の制作者の意見が表明されることはなく、全ての意見が中立的に並べられます。作品全体の雰囲気がフィルムとデジタルどちらかに偏ることなく、ほどよいバランスにまとまっていました。様々な観点から、フィルムとデジタルについて語られていて、おもしろかったです。

また、映画について知らなかったことをたくさん知ることができたのもよかったです。
例えば、フィルムとデジタルなら、画質がいいのはデジタルだと私は思っていたのですが、実は画質がいいのはフィルムらしいです。私がフィルムの画質が悪いと思っていたのは、映画館で観ている上映用プリントの画質が悪かったからなんですね。上映用プリントの質に関しては、フィルム派、デジタル派ともに、酷評していました。
また、デジタルの保存方法がまだ確実なものがないというのも意外でした。「デジタル=いつまでも保存できる」という文系的ざっくりしたイメージしかなかったので、とても驚きました。「メリエスの素晴らしき映画魔術」で問題になっていた、映画の保存方法がやはりデジタルの時代にも残っているんですね。映画は芸術ではありますが、同時に記録媒体でもあるので、保存は重要な問題です。フィルムも、デジタルも、確実な保存方法が必要なんですね。

よく知っている作品の監督の意見が聞けるのもおもしろかったですし、監督の顔や話しているところってあまり見たところがなかったので、そこもおもしろかったですよ。

ジョージ・ルーカスは見たことがありましたが、
サイド・バイ・サイド1
ちなみにルーカスは、デジタル派。

ジェームズ・キャメロンは見たことがありませんでした。
サイド・バイ・サイド2
キャメロンもデジタル派です。

クリストファー・ノーランも初めて見ました。ちょっとレオナルド・ディカプリオ似ですね。
サイド・バイ・サイド3
できるだけCGを使わないノーランは、もちろんフィルム派。

そして一番の衝撃は、ウォシャウスキー兄弟がウォシャウスキー姉弟になっていたことですかね。知らなかった。
サイド・バイ・サイド4
姉御の髪型素敵。

デビット・リンチは頑固な芸術家っぽくてイメージ通りでしたw結構かっこいいですよね。
サイド・バイ・サイド5
「全員に紙と鉛筆を持たせたからといって、秀逸な物語がたくさん生まれるわけじゃない。現在の映画の状況も同じだよ。」との仰せでした。さすが先生、深いことをおっしゃる。

スティーブン・ソダーバーグがイケメンだったのは、ちょっと意外でした。なんにでもダメ出しするところがいいですね。それに対してレッドへの大変な絶賛もよかったです。そんなに気に入ったか。
サイド・バイ・サイド6
これは「オーシャンズ11」のシャレオツぶりも納得。

マーティン・スコセッシの優しそうなおじいちゃんぶりが好きになってしまいました。やわらかな物腰、優しそうな話し方、素敵メガネと、いい要素が詰まってましたよ。
サイド・バイ・サイド7
この人の意見が一番バランスがとれていた気がします。巨匠は違いますね。

その他、知っている監督についても、ロバート・ロドリゲス相変わらずイケメンだなぁとか、
サイド・バイ・サイド8

ジョエル・シューマッカー老けたなぁとか、
サイド・バイ・サイド9

色々な感慨があって楽しかったですよ。

また、デジタル化に対する意見だけではなく、自分の手がけた作品についても色々な話が聞けておもしろかったです。特に、ダニー・ボイル監督の「スラムドッグ・ミリオネア」の話は細かいところまで語られていましたよ。個人的には、カメラの話題も出ていたので、ノーラン監督にIMAXカメラを撮影で壊したときの話をしてほしかったですねw

インタビューは監督を中心にして行われたのですが、他にも様々な映画制作に関わる人々へのインタビューがあったので、楽しかったです。撮影監督がフィルム撮影の時代に果たしていた重要な役目の話が特におもしろかったですよ。撮影監督がプライドを持って映画制作にあたっているということや、現場において優越的な立場にある話なんかとてもおもしろかったです。


フィルムにはフィルムの良いところがあり、デジタルにはデジタルの良いところがある。その上で、映画制作者のこだわりが様々あるということに直接触れることができて、感動してしまいました。やはり映画というものは、様々な人が愛と情熱を持って作っているんですね。
今年は色々な映画を観ましたが、その映画もこういう人たちが作っているんだと思うと感慨深いです。来年もこういう人たちが、愛と情熱を持ってつくった映画をたくさん観ていきたいですね!


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来月観たい映画の話

今年もそろそろ終わりですね。
皆さんはどんな年末をお過ごしですか。私は昨日やっとバイト地獄から解放されたので、思いきり自堕落に過ごしています(´▽`*)


1月5日公開
大魔術師“X”のダブル・トリック…シネマートの「冬の香港傑作映画まつり」で公開される作品です。私の好きなトニー・レオンがマジシャン役をやるみたいです。

1月11日公開
96時間 リベンジ…これまた私の好きなリーアム・ニーソン主演の作品です。実は前作を観ていないです。先月観た「ロック・アウト」のヒロインがリーアム・ニーソンの娘役らしいですね。

1月12日公開
LOOPER/ルーパー…来月公開の作品で一番楽しみにしています!ジョセフ・ゴードン=レヴィットとブルース・ウィリスの共演作品です。私はSFが好きで、特にタイムリープものが大好きなので、とても楽しみです。
恋するローマ 元カレ元カノ…たまには恋愛映画もいいですよね。タイトルはあまり私好みではありませんが。イタリアでは大ヒットしたみたいですよ。
ロンドンゾンビ紀行…タイトル一本釣りです。できるだけ情報を入れずに観に行こうと思っています。

1月18日公開
テッドなにこのテディベアめちゃくちゃかわいい!!これもできるだけ情報を入れずに観に行く予定です。
アルバート氏の人生…ポスターを見て、地味なヒューマンものかと思ったのですが、これはおもしろそうです。貧しさから、職を得るために男装して生きてきた女性の話だそうです。

1月19日公開
エンド・オブ・ザ・ワールド…地球滅亡の直前に、大切な人を探しにいくという話のようです。だから最近人類滅亡系多すぎだってば。おもしろそうです。
夜のとばりの物語…今年公開された作品ですが、また公開するようです。ポスターからしてとても素敵です。影絵の短編アニメーションのオムニバスだそうです。私は影絵が好きなので、とても楽しみです。

1月25日公開
ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日…乗っていた貨物船が遭難し、一匹のトラとともに救命ボートで漂流することになった少年の物語だそうです。正直あまりそそられません

1月26日公開
塀の中のジュリアス・シーザー…刑務所で囚人たちが「ジュリアス・シーザー」の舞台をやる話だそうです。設定だけでおもしろそうです。「いま、刑務所はローマ帝国へと変貌する」という煽り文句がいいですね。


タイトルのリンクから公式サイトにとべます。
来年もたくさんいい映画を観たいですね!


クリスマス映画祭終了!!

12月20日から開催していたクリスマス映画祭ですが、本日で終了としたいと思います。
付き合ってくださった皆様、作品を紹介してくださったtukiwaさん、kaikoさん、negyu1220さん、ごえじさん、本当にありがとうございました。
tukiwaさんに紹介していただいた「戦場のメリークリスマス」、negyu1220さんに紹介していただいた「エルフ」は、DVDが入手できしだい鑑賞し、レビューしたいと思います。

しばらくは通常のレビューが中心になります。なにかおすすめがありましたら、コメントで教えてくださいね。現在、タコさんに紹介していただいた「イレイザーヘッド」を鑑賞予定です。
そして、1月には、「アメコミヒーロー映画特集第二弾」を開催予定です。こちらもおすすめがありましたら教えてください。現在、「アベンジャーズ」、negyu1220さんに紹介していただいた「インクレディブル・ハルク」、「デアデビル」、「スーパーマン・リターンズ」、Eveさんに紹介していただいた「バットマン・フォーエバー」を鑑賞予定です。


ラブ・アクチュアリー感想(ネタバレ)

love actually

原題:Love Actually
製作年:2003年
製作国:イギリス
上映時間:135分
監督・脚本:リチャード・カーティス
製作:ティム・ビーバン、エリック・フェルナー、ダンカン・ケンワーシー
撮影:マイケル・コールター
音楽:クレイグ・アームストロング
キャスト:ヒュー・グラント、リーアム・ニーソン、エマ・トンプソン、アラン・リックマン、コリン・ファース、ローラ・リニー、キーラ・ナイトレイ、ローワン・アトキンソン、ビリー・ボブ・ソーントン、ビル・ナイ、ロドリゴ・サントロ、キウェテル・イジョフォー

あらすじ
12月のロンドン。クリスマスを目前に控え、誰もが愛を求め、愛をカタチにしようと浮き足立つ季節。新たに英国の首相となったデヴィッドは、国民の熱い期待とは裏腹に、ひと目惚れした秘書のナタリーのことで頭がいっぱい。一方街では、最愛の妻を亡くした男が、初恋が原因とも知らず元気をなくした義理の息子に気を揉み、恋人に裏切られ傷心の作家は言葉の通じないポルトガル人家政婦に恋をしてしまい、夫の不審な行動に妻の疑惑が芽生え、内気なOLの2年7ヵ月の片想いは新たな展開を迎えようとしていた…。(allcinemaより)


78点

クリスマス映画といえばこれですよね!

ダメなところを探そうと思えばいくらでも探せるけど、それでも好きな作品ってありますよね。私にとって、「ラブ・アクチュアリー」はそういう作品の1つです。

いくつもの恋愛が描かれる群像劇なのですが、それはもう素敵な話ばっかりなんです。
なんといっても監督・脚本が、「ノッティング・ヒルの恋人」や「ブリジット・ジョーンズの日記」の脚本をやっていたリチャード・カーティスですからね。素敵じゃないわけないんです。

私が一番好きなのは、ローラ・リニー演じるサラが、片思いの相手のカールを部屋にあげる前に「1秒待ってくださる?」と言うシーンですね。サラはその1秒の間に壁の向こう側で「うきゃーーー」と喜びのあまり暴れて、次の瞬間何事もなかったかのように戻ってくるんです。
ラブ・アクチュアリー1
この感じ超わかる。
サラは2年以上もカールに片思いしていて、しかも隠しているつもりが本人にもバレバレというちょっとどんくさい子なのですが、こういうどんくさい女の子の描き方が「ブリジット・ジョーンズの日記」の脚本家らしくとても上手で、感心してしまいました。
ところで、カールめちゃくちゃかっこいいですね!メガネかけてもよし、メガネ外してもよしと1粒で2度おいしいです。


ストーリーが一番好きなのは、マークのジュリエットへの片思いの話ですね。
ずっと好きだった人が親友と結婚してしまうという設定だけで、切なさ爆発です。なんとか想いを断ち切ろうとして、マークはジュリエットにそっけなく接してしまうのだけれど、結婚式のビデオはジュリエットばかりが映っていて……という展開には、冒頭から早くも涙ぐんでしまいました。
そして、ラストのプラカードでの告白シーンは涙腺決壊でした…!!
ラブ・アクチュアリー2
2人とも何も言わず、プラカードのみの告白シーンなのに、こんなにもロマンチックで切ないなんて反則です。ジュリエットも声には出さずに「メリークリスマス」と口の動きだけで伝えたり、黙ってキスするところがいいですね。後ろに流れる「サイレント・ナイト」と相俟って、すっごく素敵なシーンになっています。


サムの初恋エピソードもかなり好きです。
かわいくて、元気いっぱいな恋の話でした。サムのジョアンナへの恋を、義理の父のダニエルが見守り、サポートする話なのですが、私の大好きなリーアム・ニーソンがお父さんというのがまずツボでした。サムとダニエルのタイタニックごっこはかわいくて癒されましたね。なにこの親子超かわいい。
ラブ・アクチュアリー3
癒し担当親子。「初恋より悪いことなんてあるの?」というサムがかわいかったです。空港でジョアンナを追いかけるシーンは、第2の涙腺決壊シーンですよ。


サムが空港でジョアンナを追いかけるシーンと同時進行で、オーレリアへのプロポーズを決行するジェイミーの話も好きです。
初め、オーレリアとジェイミーはよそよそしい感じなのですが、言葉が通じないながらも次第に心を通わせて行く過程は素敵でした。お互いに言葉が通じないのですが、なんとなく同じ話をしていたり、でも微妙に噛み合ってなかったりするところは愉快でしたよ。特に、湖に落ちた原稿を拾うシーンはおもしろかったですよね。あと、お互いに言葉が通じないからこそ、本音を面と向かって言っているのもよかったです。2人が何を言っているかわかるこちら側としては、ほほえましいやら、余計に言葉が通じないのがもどかしいやらで、とてもいいシーンになっていたと思います。
プロポーズシーンも素敵でした。
ラブ・アクチュアリー4
ジェイミーのオーレリアへのプロポーズがポルトガル語で、オーレリアのジェイミーへの返事が英語なのがいいですよね。出会ったころと正反対になっています。オーレリアに気持ちを伝えるためにポルトガル語を勉強するジェイミーと、同じように英語を勉強していたオーレリアがほほえましいです。


その他はさらっと箇条書きで。
・私もアランを誘惑したい。というか、上司がアラン・リックマンだったら誘惑したくもなりますよね。しょうがないね。
・ヒュー・グラントはリズム感なさすぎw
・コリンが出会ったアメリカ娘のノリが結構好きです。コリンがなにしてもキャーキャーいうところとか、なんかどこかの居酒屋で見たことのある感じの光景でよかったです。
・でもコリンが連れて帰ってきたハリエットよりも、キャロル・アンの方がかわいかったと思うんだ……
・ジュディとジョンの話は、特に盛り上がりもないんだけど、純朴な気遣い屋さんのジョンがもじもじしているところに、ジュディが先制ちゅーをかますところが私は好きです。あと、ジョンの顔どこかで最近見たなーと思ったら、ビルボだった。
・ダニエルが一目ぼれした女性を、クラウディア・シファーが演じているのが効いています。サムが「これは?」と言って、ちゅちゅちゅーとするのに萌え転がりました。


9組もの恋愛が描かれ、登場人物もとても多いのですが、それぞれの物語は独立していて、あまりつながりがないので(あったとしても兄弟だったり、ご近所さんだったりする程度)、混乱せずに楽しめます。
愛にあふれた、クリスマスに超おすすめの作品です。


バッドサンタ感想(ネタバレ)

bad santa

原題:Bad Santa
製作年:2003年
製作国:アメリカ
上映時間:91分
監督:テリー・ツワイゴフ
製作:サラ・オーブリー、ジョン・キャメロン、ボブ・ワインスタイン
製作総指揮:イーサン・コーエン、ジョエル・コーエン
脚本:ジョン・レクア、グレン・フィカーラ
撮影:ジェイミー・アンダーソン
音楽:デビッド・キティ
キャスト:ビリー・ボブ・ソーントン、トニー・コックス、ローレン・グレアム、バーニー・マック

あらすじ
アル中のウィリーは自分を社会の落ちこぼれだと考え、アルバイトでデパートのサンタクロースに扮しては、強盗を働く常習犯。だが、毎年盗んだ金を使い果たして、またサンタクロースに扮するはめになる。しかし、ボケ老人の祖母と暮らすいじめられっ子の肥満体少年と出会って、彼と交流するうちに、ウィリーの心は変化していく。(映画.comより)


65点

クリスマス映画ということで、ごえじさんにおすすめしていただいた作品です。
サンタを題材にした典型的なクリスマス映画のように見せかけて、クリスマスと正反対のものをたっぷり詰め込んだ、毒っ気あふれる素敵な作品でした。

まず、ビリー・ボブ・ソーントンが演じるダメサンタのウィリーがとても愛しかったです。
とことんダメな大人の見本で、四六時中酒は飲むわ、子供の前でたばこは吸うわ、親のいない子供の家に上がりこんで堂々と盗みを働くわ(せめて子供の目の前でやるなよw)、その子供の家に居候するわ、居候先の子供の家に女は連れ込むわ、とやりたい放題でした。ほぼ全編を通じて徹底したダメ人間として描かれるのですが、このダメっぷりにビリー・ボブ・ソーントンがぴったりとはまるんです。ビリー・ボブ・ソーントンがだらしなく座っていると、「うわー、この人ダメそう」という感じがするんですね(ビリー・ボブ・ソーントンをディスってるわけじゃないですよ。念のため。)。それでいて、危険な色気みたいなものもあって、あの酒場のお姉さんが惚れてしまうのも納得です。現実でも、まともな人よりどう考えてもクズみたいな人の方がもてたりしますよね。そういう不条理感もリアルでよかったですw

そして、このダメサンタことウィリーの最高なところは、最後までしっかりダメ人間であり続けるところです。
自殺未遂からいじめられっ子サーマンのために立ち上がるシーンで、「これは改心して最後に窃盗の件を自首するパターンかな」と思ったのですが、全くそんなことはなく、当初の計画通り盗みを実行します。というか、サーマンのためにいじめっ子に制裁を加えた後の感想もどこかズレてますしね。「建設的な事をした気がする」てw
確かに、サーマンと出会ってからウィリーの心は変化していくのですが、決して更生はしないんです。更生しないのがいいのだと思います。これで更生して自首したり、これまでの行いを反省したりといった展開だったらがっかりでした。あくまでウィリーはダメ人間だというのがポイントで、だからこそ、そんなダメ人間が最後に友達のサーマンのためにプレゼントを届けに行くのが心に響くんですね。お互いプレゼントは血まみれだったのだけど、そんなこと関係ないんだというラストの手紙はよかったですね。

また、どんくさいサーマンも可愛かったです。
実はウィリーよりもずっと大人で、賢い子ですよね。プレゼントとして木彫りのピクルスを作るセンスもなかなかのものです。チェッカーに負けてマジギレしているウィリーに「もう一度やる?」と聞くところは、おとなげない友達をなだめる図そのものでとても好きです。一番好きなのは、サンタであるウィリーにプレゼントをお願いすると見せかけて、友達としてウィリーとプレゼントの贈り合いをしたかったと言うシーンです。真意がわからないウィリーに拒絶されてしまうのですが、「サンタじゃないのはわかってる。でも友達だからプレゼントの交換をしようと思って。」と言うときの静かでさみしそうな表情がとてもよかったです。ところで、このシーンでウィリーが言ってた「サンタじゃない動かぬ証拠」ってなんでしょうね。知りたいような知りたくないような……w

ストーリーは、ほぼウィリーがダメ人間だという件を順を追って見ていくものです。
ただ、中身がすっからかんだと思って観ていると、急にウィリーが悪餓鬼を成敗しだしたり、サーマンのためにボクシング教室をやったりと、ぶっとんだ展開が繰り広げられます。びっくりしますが、なんとなく全編を通じてゆるーく大味な感じなので、急展開もそれほど気になりません。むしろいいスパイスです。最後まで観ていると、銃弾を8発も喰らって生きているのも、ウィリーならありかなという気がしてくるので不思議です。
そして先ほども述べたように、ストーリーの中核をウィリーの成長や更生にせず、サーマンとウィリーの友情にしたところに好感が持てます。ダメ人間が更生するというありがちな物語にせず、それでいてダメ人間の単なるラッキー物語にもせず、ダメ人間が自分とは全然違うタイプの人間と友達になり、その友達に助けられるという物語にしたのは正解だったと思います。ラストの手紙には2人の友情が読み取れますよね。気のない「ha ha ha」という笑いや、「誰にもコケにされるなよ。とりわけ自分にな。」という一文(友情をメインに据えることで、説教臭くなっていないところがまたいいですね)、サーマンを友達と呼んでいるところと、これまでのゆるさを取り戻すようないい手紙でした。

この映画の一番素晴らしいところは、音楽の使い方です。
クラッシックをふんだんに使い、ウィリーのダメっぷりと対照になるようにしていたり、冒頭でウィリーが飲んだくれているシーンで使われたノクターンを、後半のウィリーがサーマンのためにプレゼントを届けようとするシーンで対照的に使って見せたりと、とにかく音楽の使い方にセンスを感じます。


いろいろ書きましたが、この作品で私を魅了したベスト・シーンは、ウィリー、マーカス、サーマンの3人が股間を蹴り合うシーンですね。このシーンだけでこの作品が大好きになりましたw
クリスマスにちょっと型破りなサンタさんをお望みの方におすすめです。

この作品を紹介してくださったごえじさんに感謝です。
ごえじさんは「(仮)アナコンダチョーク★」というブログを運営していらっしゃいます。様々なジャンルの映画のレビューがあります。ボードゲームの紹介もあったりして、楽しいですよ。
(仮)アナコンダチョーク★ ←こちらからごえじさんのブログにとべます。


ダイ・ハード感想(ネタバレ)

the lord of the rings

原題:Die Hard
製作年:1988年
製作国:アメリカ
上映時間:131分
監督:ジョン・マクティアナン
製作:ローレンス・ゴードン、ジョエル・シルヴァー
製作総指揮:チャールズ・ゴードン
原作:ロデリック・ソープ
脚本:ジェブ・スチュアート、スティーヴン・E・デ・スーザ
撮影:ヤン・デ・ボン
特撮:リチャード・エドランド
音楽:マイケル・ケイメン
出演:ブルース・ウィリス、アラン・リックマン、ボニー・ベデリア、アレクサンダー・ゴドノフ、レジナルド・ヴェルジョンソン、ポール・グリーソン、ウィリアム・アザートン、ハート・ボックナー、ジェームズ繁田、アル・レオン、デヴロー・ホワイト、グランド・L・ブッシュ、ロバート・ダヴィ、クラレンス・ギルヤード・Jr

あらすじ
物語の舞台は、クリスマスイヴのロサンゼルス。超高層ビルが13人のテロリストによって占拠されてしまう。ニューヨーク市警に勤める刑事・マクレーンは、たまたま立ち寄った30階で行われていたパーティに足を運んだため、事件に巻き込まれてしまう。彼は、目的達成のためなら手段を選ばないテロリストたちを相手に、武器もなく味方もいない孤立無援の状態で戦いを挑むのだった。(goo映画より)


100点

クリスマス映画ということで、tukiwaさんにおすすめしていただいた作品です。

一言言わせてください。
ダイ・ハードさいこーーーーーー!!!!!!

スーツの悪役、大爆発、キメセリフ、主人公が敵を皆殺しと、80年代アクション映画のお約束が詰まっています。

アクションはもちろん素晴らしかったです。
マクレーンがいろいろなものにまみれながら、デロデロになって戦う姿は、まさしく漢!走っているだけでサマになります。エレベーターシャフトで命がけのダイブや、カールとの一騎打ちなど、見どころ満載ですよ。
大爆発もよかったです。マクレーンがエレベーターシャフトに爆弾を落とすところも好きなのですが、お気に入りはナカトミ・ビルの屋上の爆発シーンですね。エレベーターシャフトの爆発シーンも大規模でいいのですが、画的に煙メインになっていて、炎があんまり見えなかったので、屋上爆発シーンに軍配を上げたいです。屋上爆発シーンの方は、ヘリも派手に爆発して画的に私好みですし、高所恐怖症なマクレーンがビルの屋上から飛び降りるのも同時進行で、ハラハラが倍増ですからね。

それでいて、80年代アクションらしからぬところもあって、そこがまた素敵なのです。
まず、脚本がとても上手なんです。この手の映画にありがちな、「まぁ、いいじゃん。そこはさ。」的な勢いだけのアクション映画とは全く違って、ひとつとして無駄なシーンがなく、後の展開にしっかりとつながっています。
例えば、冒頭の夫からの連絡がないことを聞いたホリーが家族写真を伏せるというシーンが、後にハンスがテレビ局のインタビューを見て伏せられた写真を見てみると……という展開にしっかりつながっています。こんな細かいところ一つをとっても見事ですよね。私が好きなのは、子供を誤射してしまったトラウマから現場を退いたパウエルが、ラストにトラウマを乗り越えてカールを撃つシーンです。私は、「因縁の2人は、タイマンで決着をつけるべし」主義者なのですが、この展開に関しては、パウエルがカールを倒した方が絶対アガる。中盤で、パウエルがトラウマを語るシーンがあるから、この展開がアガるんですね。こういうところも上手です。

また、主役のマクレーンが全くヒーローらしくないんですね。正統派ヒーローでないのはもちろんのこと、はちゃめちゃなアンチヒーローともどこか違う。負け犬が立ち上がってヒーローになるという展開でもない。完全に「ただ単に巻き込まれちゃった人」なんです。
そんな「巻き込まれちゃった人」ことマクレーンが、タカギ社長をむざむざ見殺しにしてしまった後悔から最後まで戦い抜くんですね。巻き込まれちゃった人なりの動機と理屈で、「運が悪いぜ」とか「もうよそへ行きたいよ」などと言いながら戦うマクレーンがとても魅力的でした。ちょっと情けないところも、妻に「あんなに人を怒らせることができるのはジョンだけよ」と言われちゃうところも素敵ですw

悪役もよかったですね。私は、アラン・リックマンが好きなのですが、本作に出ているアランは若いですねー。今と比べるとキュートな感じが前面に出ていて素敵です。

キュートなアランも!
アラン・リックマン(ダイ・ハード)
ダイ・ハードの時のアラン・リックマン

セクシーなアランも!
アラン・リックマン(今)
今のアラン・リックマン

どっちも好き!!

とにかく本作のアランはかわいくて最高なんです。
終盤ホリーに「ただの泥棒ではない」とすごむシーンは、ちょっと切羽詰まっている感じと一生懸命脅そうとしているところがかわいらしくて、非常によかったです。マクレーンのまねっこして「Yippee-ki-yay, Motherfucker」と言うところは完全なる萌えシーンでしたね。アメリカ英語のアクセントを再現しようとしているのがかわいすぎます。


とにかく、最高なアクション映画でした!アクション映画の金字塔と言っても過言ではありません。超おすすめです!!


ナイトメアー・ビフォア・クリスマス感想(ネタバレ)

the lord of the rings

原題:The Nightmare Before Christmas
製作年:1993年
製作国:アメリカ
上映時間:76分
監督:ヘンリー・セリック
製作:ティム・バートン、デニーズ・ディ・ノヴィ
脚本:キャロライン・トンプソン
脚色:マイケル・マクドウェル
原案:ティム・バートン
美術:ティム・バートン、ディーン・テイラー
撮影:ピート・コザチク
音楽:ダニー・エルフマン
作詞:ダニー・エルフマン
編集:スタン・ウェブ
キャスト:クリス・サランドン、ダニー・エルフマン、キャサリン・オハラ、ウィリアム・ヒッキー、グレン・シャディックス、ポール・ルーベンス、キャサリン・オハラ、ダニー・エルフマン、ケン・ペイジ、エドワード・アイヴォリー

あらすじ
奇妙で愛すべき住民が暮らす街、ハロウィンタウン。カボチャ大王ジャック・スケリントン(声=クリス・サランドン)は、最高のハロウィン演出家として市長や市民たちに絶賛されながら、毎年毎年、ハロウィンの準備に明け暮れることに嫌気がさしていた。彼はある日、親友の幽霊犬ゼロとともに、森の中で奇妙な形の扉がついた木を見つける。その1つ、クリスマスツリーの形のドアをくぐり抜けると、そこは真っ白な雪と明るいデコレーションに包まれた街、クリスマスタウンだった。初めて見るクリスマスの光景に魅せられた彼はハロウィンタウンに戻ると、早速クリスマスの研究に没頭。ジャックを愛するつぎはぎ人形サリー(声=キャサリン・オハラ)は心配するが、彼はサンタの代わりにクリスマスを行うことを決意する。ジャックはサンタに休暇を取ってもらおうと、ロック、ショック、バレルの悪戯っ子3人組を派遣するが、3人はボスのウーギー・ブーギーに引き渡してしまう。そしてクリスマス・イヴ。棺桶型のソリに乗ったジャックが人間界を訪れてプレゼントを配るが、ハロウィンタウンの住民たちが作った不気味なプレゼントに被害続出。ジャックはにせサンタとして軍隊に攻撃される。ようやく自分の愚かさに気づいた彼は、捕らわれのサンタを救い、クリスマスは無事に行われた。沈む彼の側にサリーが寄り添い、ジャックは今まで気にも留めなかった彼女の優しさ、美しさに気づいた。(映画.comより)


65点

クリスマス映画ということで、negyu1220さんにおすすめしていただいた作品です。
ティム・バートン製作のストップモーションアニメです。とてもティム・バートンらしいクリスマス映画でした。私はすごく気に入りましたよ。

まず、ストップモーションのアニメーションがよかったです。
ストップモーションアニメというのは、止まっている人形や物体を1コマ毎に少しずつ動かして撮影し、それらをつなげてアニメーションにしたものです。ものすごい手間と時間をかけて作られます。

来年3月に公開される「パラノーマン」のメイキングを見ると、ストップモーションアニメのすごさ、大変さがよくわかりますよ。こんな感じです↓

製作者たちの大変さがわかりますよね。

出来上がったアニメーションは、手作り感があって、キャラクター自体は人形のはずなのに、魂が宿っているようでした。
私は、冒頭のハロウィンパレードでジャックが水の中から出てくるシーンが好きです。頭蓋骨から薄緑色に光る水が滴っていき、ジャックが目を開いていくところがとてもいいです。ちょっと作り物くさいところが、またいい味になっているんですよね。作品全体がウェルメイド感があり、そのウェルメイド感に一役買っているのが、ストップモーションアニメという手法なのだと思います。

また、世界観の構築が見事です。
クリスマス・タウンは明るい色と明るい音楽に満ちているのに対し、ハロウィン・タウンは色彩も乏しく、音楽も暗いものになっていました。明るくポップな街とダークで恐ろしい街というように、この2つの街の対照性が見事に表現されていましたね。特に、ジングル・ベルがハロウィン・タウンの音楽隊にかかると短調になってしまうのは愉快でした。

いろいろな音楽が随所に使われていて、楽しかったです。ちょっとディズニーっぽさがあって、好き嫌いがわかれそうなところではありますが。
私は、「サンディ・クローズを捕まえろ」の歌が好きです。ブギーの子分のロック、ショック、バレルの3人が歌っている歌です。キャッチーなメロディ、ちょっぴり怖い歌詞、ラストに向かっての盛り上がりとどこをとっても完璧です。

ストーリーもよかったです。
ジャックがサンタ・クロースをやろうとして失敗してしまい、ハロウィン・タウンのジャックとしてやっていこうと決意するところは、分不相応な事をやろうとしてもダメなんだという少しほろ苦い教訓のようにも思えますが、自分らしくあることの価値と自分の居場所がわかったというハッピーエンドなのだと思います。バートンらしい、マイノリティーへのあたたかな視線にあふれたいいエンディングです。
ラストのサンタとハロウィン・タウンの住人達の交流もよかったですね。サンタがジャックに「ハッピー・ハロウィン」といい、ジャックがサンタに「メリー・クリスマス」と答えるシーンです。サンタが降らせた雪を見て、ハロウィン・タウンの住人達も、クリスマスを心から感じることができるという展開になっています。素敵ですね。


76分という短い作品ながら、バートンの美術と美学が光る、素敵な作品です。ジャックとサリーの不器用な恋の行方にも注目です。おすすめですよ。


ホーム・アローン感想(ネタバレ)

the lord of the rings

原題:Home-Alone
製作年:1990年
製作国:アメリカ
脚本:ジョン・ヒューズ
製作:ジョン・ヒューズ
監督:クリス・コロンバス
製作総指揮:マーク・レヴィンソン、スコット・ローゼンフェルト、ターキン・ゴッチ
撮影:ジュリオ・マカット
編集:ラジャ・ゴズネル
美術:ジョン・ムート
音楽:ジョン・ウィリアムス
キャスト:マコーレー・カルキン、ジョー・ペシ、ダニエル・スターン、ジョン・ハード、ロバーツ・ブロッサム、キャサリン・オハラ

あらすじ
クリスマス休暇をパリで過ごすことになった一家15人。出発の日、あわてて家を出たお母さんは飛行機の中で何かを忘れたことに気付く。8歳の息子ケビンだった。その夜、ケビンたった一人しかいなくなった家の中に泥棒が入ってきて……(ぴあ映画生活より)


78点

クリスマス映画ということで、kaikoさんにおすすめしていただいた作品です。ずいぶん昔に観た作品なのですが、観返してみると記憶よりずっとずっといい作品でした。

まず、主人公のケビンがとってもかわいいです。
頭が大きくて全身のバランスがやや悪い感じや、ばたばた四肢を動かしながらも、まだ身体の動きが全体としてぎこちない感じなど、8歳児ならではの表現があちこちでなされていて、他の年嵩の兄弟や大人たちとのいい対照になっていました。
冒頭の、みんなでピザを食べているところでケビンが騒ぎをおこすところが私は好きです。大人数で集まった時に必ず割りを食う子っていますよねw確かに騒ぎを起こしたのは自分だけど、自分が悪いわけじゃないから謝るのも癪だし、みんなが自分の言い分を聞かずに白い眼を向けてくるのが腹立たしいやら情けないやら。ケビンが完全に拗ねてしまっているところが、あるある感があってよかったです。
また、こまっしゃくれていてムカつくガキではあるのですが、とても純真なところもいいです。例えば、サンタの家で働くサンタ役のおじさんに向かって、「あんたはサンタじゃない。もう子供じゃないからそんなことくらいわかるよ。」と言いつつ、「本物のサンタに伝えてよ」と言うシーンはよかったです。雇われサンタを見抜いてわざわざ指摘するちょっと賢しいガキに見せかけて、実はサンタ自体は信じているというケビンの純真さが出ていますよね。

ケビンの宿敵のお兄ちゃんもよかったですね。
確かにケビンに意地悪ばかりするけど、実は家族の中で一番ケビンのことを信頼しているんです。パリでみんながケビンのことを心配している中、お兄ちゃんは「危険なことはないから大丈夫だろ」というシーンがあります。まぁ、実際には泥棒とドンパチやってて、結構危険だったりするんですが、みんなが幼いケビンが家に一人という状況にハラハラしているのに、お兄ちゃんは意外にケビンをちゃんと評価しているんですね。みんなが家に帰ってきたときのシーンにも、それが表れています。「自分で買い物をしたよ」というケビンに、みんなが「こんなに幼いケビンが買い物をするなんて!」と「はじめてのおつかい」的な感動をしているのですが、お兄ちゃんだけは「お前ならこれくらいはできるよな」という感じで「留守番ごくろう」言うんです。その後、ケビンとお兄ちゃんが拳をぶつけあうシーンは、幼いからといって不当な子供扱いはしないという男兄弟同士の信頼があってよかったです。

ストーリーのはこびもよかったです。
冒頭に強風で木の枝が折れて電線がイカれてしまいます。そしてこのことが、翌朝に寝坊してバタバタと出かける羽目になり、ケビンを家においてけぼりにしてしまう理由になるのと同時に、みんながパリに行った後では、家と連絡がつかない理由になるというのは、細かいところながら上手いですよね。

お母さんがケビンを忘れたと気づいてから、どんなことをしてでも家に帰ろうとするところも好きです。自分を責めながらも、力づくでシカゴの家に帰ろうとするんですね。どうあっても留まる事ができずに、一睡もせず、1ミリでも家に近づこうとするところに、ケビンを心から心配していることが感じられました。空港のカウンターで半ギレになるところはお気に入りシーンの1つですw

隣のおじいさんは脇役ながら、いい味を出していました。ケビンと同じように自分のせいで家族と疎遠になってしまっているのですが、この2人が教会で話すシーンは、とてもよかったです。息子に嫌われていると知ってしまうのが怖いというおじいさんに、ケビンは自分も地下室が怖かったという話をします。ずっと地下室が怖かったけど、電気をつけたら思っていたほど怖くないことがわかって、克服することができたんだと語ります。怖いものをどうやって克服するのかという問題を、子供らしい素朴で現実的な語り口で話すわけです。とてもいい場面です。そして、このおじいさんは一歩踏み出し、恐怖を克服することで、ラストにケビンが家族を取り戻すのとシンクロして、家族を取り戻すんですね。雪の中で家族と抱擁しながら、ケビンの方に手を振るシーンは感動的でした。

泥棒との対決は、だいぶぞんざいではあるのですが、おもしろいからOKです!手加減を知らない子供は本当に怖いですよねw


クリスマスカラーとクリスマスソングに彩られた、冒険あり、家族愛あり、ドタバタありの完璧なクリスマス映画でした。この時期にぜひ観ておきたい1本ですね。おすすめです。


東京ゴッドファーザーズ感想(ネタバレ)

東京ゴッドファーザーズ

製作年:2003年
製作国:日本
上映時間:92分
監督:今敏
演出:古屋勝悟
キャラクター・デザイン:小西賢一、今敏
作画監督:小西賢一
キャスト:江守徹、梅垣義明、岡本綾、こおろぎさとみ、寺瀬今日子

あらすじ
クリスマスの夜、東京・新宿に生きる3人のホームレス、元競輪選手のギンちゃん、元ドラッグ・クイーンのハナちゃん、そして家出少女のミユキは、ゴミの山の中から赤ん坊を拾う。警察へ届けようと言うギンちゃんとミユキ。だが、ずっと子供を欲しがっていたハナちゃんが赤ん坊に勝手に清子と名前を付けてしまい、結局、情にほだされた3人は乏しい手掛かりを頼りに、雪の中、親探しの旅に出発する。そんな彼らを見舞う数々のトラブルと、その度に起こる信じられない奇跡。やがて、彼らは清子の母親・幸子を見つけ出すが、実は彼女は清子の本当の母親ではなかったのである。流産したショックから、病院から清子を盗み出していた幸子。それを知った3人は、大追跡の末に清子を取り戻すことに成功する。その後、清子を本当の両親に返した3人は、彼らに名付け親になって欲しいと頼まれるのであった。(映画.comより)


40点

クリスマス映画ということで、tukiwaさんにおすすめしていただいた作品です。
奇跡と家族愛がつまった、素敵なクリスマス映画でした。

まず、アニメーションが素晴らしいです。動きがなめらかだし、キャラクターの表情も微細なところまで表現されていました。特に、結婚式で新郎を撃った男が走って逃げるシーンは、動きがとてもよかったです。ミユキをつかんでくるっとまわすところなんか、細かいところながら動きがしっかりとわかりました。
声優もうまくはまっていました。特に、ハナの声がぴったりで、演技もよかったです。ミユキの声もよかったです。演技は、はっきりと声優じゃないとわかる感じでしたが、そこも逆にいい味になっていました。演技はよかったですしね。鼻をすするあの感じとかすごく好きです。

捨てられていた赤ちゃん清子を中心として、奇跡が次々と起こる展開はよかったです。クリスマスに清子に出会ってから、登場人物たちが家族の絆を取り戻していくんですが、こういう展開は嫌いではないです。クリスマスと奇跡の親和性、赤ちゃんと奇跡の親和性がすごくあるんでしょうね。
清子を中心にして、ミユキと父親、ギンと娘、ハナと店のお母さんがひきあわせられていくのですが、迷いながらもまた絆を取り戻そうとしているのが、とても心に響きました。そして、清子を中心にして、ミユキ、ギン、ハナもまた、家族として結び付いていきます。清子も含めた4人でわちゃわちゃしているところは、困難なことを一緒に乗り越えていく家族そのものでしたよね。

ただ、清子の親を探しに行くという冒頭の展開には、全くのれませんでした。
まず、清子の親を見つけてどうするんでしょうか。
ハナは、「なんでこの子を捨てたのか理由を聞きたいの」と言っていますが、聞いてどうするのでしょうか。理由が納得できるものなら、清子の親も自分を捨てた自分の親も許す、と言っていますが、清子の親を許すか許さないかと言う件はハナの出る幕じゃないと思うんですよね。清子の親もハナに許されたところで、何にもなりません。結局ハナが、自分の親に捨てられたことにケリをつけたいだけに見えてしまいました。それだけのために、雪の降る中を延々と連れまわされている赤ちゃんが不憫でなりません。
また、清子を捨てた理由が、ハナの納得できないものだったら、どうするつもりだったのでしょうか。「そんな理由で子どもを捨てるな」とか言って清子を親の元に戻すつもりだったんですかね。納得できないような理由で、赤ちゃんを捨てた親のもとに戻すのってまずくないですか。そういうところもハナの単なる自己満足にしか見えなくて嫌でした。
ハナは、親に捨てられたことがある身ですから、清子に同情してしまうというのはわかります。しかし、ハナは自分で言うように「ひとかけらも愛情をもらえなかった」わけではないはずです。例えば、ハナが昔働いていた店のお母さんは、ハナと血のつながりはないけれどハナのことを心から愛していますよね。実の親に捨てられたハナだからこそ、血のつながりのないところにも愛があることを知っているという描写があった方が心に響いたのではないでしょうか。

あと、この物語の随所で思ったのですが、警察に届けた方がよくね?
最初から警察に届けていれば、幸子が清子と心中しようとすることもなかったわけですし。
ミユキと清子が連れ去られた時に、「警察に届けよう」というギンに、ハナは「そんな無責任な!」とびっくりするようなセリフを言うわけですが、誘拐を警察に届けるのって無責任な行為なんですか?結局ギンとハナが2人を追いかけるのですが、ミユキと清子が連れ去られた先が、銃を持った人がうようよいるようなところだったらどうするつもりだったんでしょうね。偶然や奇跡が次々と起こる展開は嫌いじゃありませんが、登場人物が偶然や奇跡頼みでめちゃくちゃな行動を起こす展開にはのれません。

また、演出過剰が随所に見られて、なんだか醒めてしまいました。
冒頭のタイトルが出てからのオープニングもダサいし、エンドクレジットのタワーが踊る(?)ところは何がしたいのかさっぱりです。
ギンが娘と再開しているところで、ハナがいきなりギンの過去の悪行を暴露してギンに罵声をあびせるシーンも、全くいいシーンには思えませんでした。ハナが罵声を浴びせた理由は、「泣いた赤おに」の話をして説明がなされます。でも、「泣いた赤おに」は青鬼が自ら嫌われ者になって、赤鬼が好かれるようにするという話ですよね。ハナがギンに罵声をあびせたのって、自分が嫌われ役をやってギンを好かれるようにしているわけじゃないですよね?ギンを思いっきり悪者扱いしてますよね?「あれでも許せたらきっと本物よ」ってギンの娘を試しているだけです。「泣いた赤おに」を持ち出すような大層な話ではないし、そもそも「泣いた赤おに」の話と全く関係ないと思います。ハナが単に嫌な奴になっているだけです。例によってギンの娘がギンを許すかどうかってハナの出る幕じゃないですし。
幸子に道連れにされそうになっていた清子が「あいたい」と言うシーンは、完全に醒めました。これはナシだと思います。幸子は、赤ちゃんに自分の都合を押しつけてしまった女性として描かれています。そして、それは間違いだということが描かれているはずです。このシーンで清子にしゃべらせるということは、話すことのできない赤ちゃんにこちらの都合を押しつけることそのものになってしまいます。これでは、幸子が間違っていたという描写として成り立ちませんし、幸子が改心したという描写としても成り立ちません。
これらに対して、ラストの宝くじネタの回収はとても粋でよかったです。おおごとにせず、さらっと回収するところは好感が持てました。


のれないところもありましたが、家族をテーマに据え、嫌みなくクリスマスの奇跡を描いたいい作品だと思います。クリスマスには、なにか素敵なことが起こるような気持ちにさせてくれます。


クリスマス映画祭開催のお知らせ

本日12月20日より、クリスマス映画祭を開催します!

もうすぐクリスマスですね。街もクリスマスツリーが飾られていたり、夜になると色とりどりのイルミネーションが輝いていたりとクリスマス一色です。
というわけで、クリスマス映画をたくさん観ていこうと思います。現時点での鑑賞予定作品は、「ラブ・アクチュアリー」、tukiwaさんに紹介していただいた「東京ゴッドファーザーズ」「ダイ・ハード」です。

私はクリスマス映画をあまり知らないので、おすすめがあれば、ぜひコメントで教えてください!


ホビット 思いがけない冒険感想(ネタバレ)

ホビット思いがけない冒険

原題:THE HOBBIT:AN UNEXPECTED JOURNEY
製作年:2012年
製作国:アメリカ/ニュージーランド
上映時間:2時間50分
監督・製作・脚本:ピーター・ジャクソン
原作:J・R・R・トールキン
製作総指揮:アラン・ホーン、トビー・エメリッヒ、ケン・カミンズ
製作・脚本:フラン・ウォルシュ
製作:キャロリン・カニンガム
脚本:フィリッパ・ボウエン、ギレルモ・デル・トロ
キャスト:アンディ・サーキス、イアン・ホルム、イアン・マッケラン、イライジャ・ウッド、クリストファー・リー、ケイト・ブランシェット、マーティン・フリーマン、リチャード・アーミティッジ、マヌー・ベネット、ジェド・ブロフィー、アダム・ブラウン、ジョン・カーレン、マーク・ハドロウ、ピーター・ハンブルトン、バリー・ハンフリーズ、スティーヴン・ハンター、ウィリアム・キルシャー、シルベスター・マッコイ、ブレット・マッケンジー、グレアム・マクタビッシュ、ジェイムズ・ネスビット、ディーン・オゴーマン、コナン・スティーヴンス、ケン・ストット、エイダン・ターナー

あらすじ
ホビット族のビルボ・バギンズ(マーティン・フリーマン)は、魔法使いのガンダルフ(イアン・マッケラン)から思わぬ旅の誘いを受ける。それは、ドラゴンに乗っ取られたドワーフの王国を奪取するというものだった。ドワーフの戦士トーリン(リチャード・アーミティッジ)が率いる13人のドワーフたちと、最初の目的地“はなれ山”を目指してワーグ、オークといった怪物や魔術師がひしめく荒野を進んでいくビルボ。そんな中、ゴブリンが巣食うトンネルに入っていった彼は、そこでゴラム(アンディ・サーキス)という醜悪な化け物と出会う。(シネマトゥデイより)


90点

※思い入れ補正がかかりまくっています。あんまりうのみにしないでくださいね。あと、長いです。

待ちに待っていた「ホビット 思いがけない冒険」を観てきました。

まず、原作が素晴らしいという件について言及させてください。
私が「ホビット ゆきて帰りし物語」を読んだのは、小学生の頃でした。山本史郎訳の方ですね。その後、瀬田貞二訳の「ホビットの冒険」も読み、続いて「指輪物語」に見事にはまって、しまいには「シルマリルの物語」にまで手を出してしまいました。
これらの物語が素晴らしいのは、中つ国という本来的には架空の世界を、もはや架空とは思えないレベルで緻密に作りこんでいる点です。言語、歴史、様々な種族と彼らの文化などなど、もう1つの現実世界を記述しているかのようなんですね。それゆえ、「ホビットの冒険」のような物語自体は単純なものであっても、背後にある豊かな世界観のおかげでそれ以上の重みがつくわけです。そして、その中で繰り広げられる魅力的なキャラクターたちの息も詰まるような冒険に惹きこまれてしまうのです。
一度はまってしまうと、世界観をとことんまで味わいたくなり、様々な関連作品に手を出さずにはいられなくなるという、業の深い作品なんですね。私もすっかりはまってしまいました。

そんな私にとって、本作は素晴らしいの一言でした。というかファンにしてみれば、「地面の穴の中に、ひとりのホビットが住んでいました。」というシーンだけでキタ━(゚∀゚)━!なのです。さらには、スランドゥイル様キタ━(゚∀゚)━!であり、西境の赤表紙本キタ━(゚∀゚)━!であり、トロールの石化キタ━(゚∀゚)━!であり、つらぬき丸キタ━(゚∀゚)━!なのです。つまり、最初から最後までテンション上がりっぱなしなのです。
やはり、ピーター・ジャクソンは裏切りませんね。このオタクはできるオタクです。先ほど言及した通り、トールキン作品の魅力は、豊かで緻密な世界の構築にあります。ピーター・ジャクソンは、「ロード・オブ・ザ・リング」に引き続きしっかりとこの点を押さえています。細部に至るまで作りこまれていて、一気に私たちを中つ国に呼び戻してくれます。

トールキン世界の構築に、ロケ地のニュージーランドや、凝った小道具が大きな役割を持っているのはもちろんですが、音楽も素晴らしい仕事をしていました。「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズに引き続き、ハワード・ショアが音楽を担当しています。
シーンと音楽の結びつきが見事です。単にシーンの雰囲気と音楽が合っているというのではなく、しっかりとしたロジックがあるんですね。例えば、これはたくさんの種族が出てきた「ロード・オブ・ザ・リング」の方がわかりやすくはあるのですが、種族ごとにメインテーマがあります。ホビット族の明るく、楽しげなテーマ音楽、人間の力強いテーマ音楽、エルフの荘厳なテーマ音楽とそれぞれの種族にぴったりのメインテーマがありました。本作では、ホビットのテーマ音楽が続投で、ドワーフのテーマ音楽、そして物語全体のテーマ音楽として、予告編でトーリンが歌っていた曲が使われています。ドワーフの不屈の精神が表現された素晴らしいテーマ音楽だと思います。種族のメインテーマだけでなく、「ロード・オブ・ザ・リング」で仲間たちが一致団結するシーンで使われた曲が、同じような仲間の絆を示すシーンで使われていたり、指輪のシーンではもちろんあのテーマ曲が使われていたりと、一定のロジックに基づいて曲が使われています。「ロード・オブ・ザ・リング」とのリンクも示されていていいですよね。

もちろん、物語もとてもおもしろかったです。
トールキンの原作を上手に映画用の脚本におとしていると思います。どっぷりとファンになってしまうと完全に忘れてしまうのですが、トールキンの物語は、世界観が広大すぎて長すぎなんですよね。しかも、物語の本筋とは関係のない部分も多いんです。そのため、映画にする際にはわかりやすくまとめながらもエッセンスを落とさないようにしなければならないという困難があるわけですが、しっかりとクリアしつつ楽しい物語に仕上がっていました。特に、細かいところではありますが、アゾグを生き延びさせて、ボルグの代わりにしているのはいいアイデアだと思いました。

まず、物語の冒頭が「ロード・オブ・ザ・リング 旅の仲間」の冒頭とリンクしているのがいいですね。ビルボが誕生日に「ホビットの冒険」を執筆しているところから始まります。
物語の前提になる情報を、ビルボがフロドに語る形式にしています。ドワーフがいかにして故郷を追われることになったのかを、映像とビルボのナレーションで説明しています。このシーンのビルボのナレーションがとても好きです。優しく「Dear Frodo」と呼びかけるところなんか、変わり者で偏屈だけどフロドのことを心から愛しているビルボそのものですよね。
他にも、フロドが元気そうだーとか(何かをもぐもぐしながら、郵便受けから手紙をとってくるところとか泣きそうになりました)、誕生日に袋小路屋敷の門にあったあの張り紙はフロドが張ったんだーとか、冒頭のシーンだけでも楽しいシーンがたくさんありました。

本作は、冒険に乗り気でなかったビルボが、ドワーフたちに共感し、本当の意味で彼らの仲間になる過程が描かれています。この過程の描き方がとてもよかったですね。
まず、冒険に出てすぐは、馬の手綱の持ち方がおっかなびっくりだったり、ハンカチがないことに気づいて家に帰ろうとしたりと、ビルボが冒険向きではないことが示されています。そして、トーリンに「足手まといだ」と言われて心が折れ、一気に故郷を恋しく思う気持ちが強くなります。しかし、ここで故郷が恋しいという気持ちのために、ドワーフたちの故郷を取り戻したいという気持ちがいっそう理解できるようになるんですね。この展開は最高だと思います。さらに、この後のトーリンをビルボが助ける展開は本当に燃えます。トーリンが助けられたことに対して、「足手まといはいらないと言ったはずだ。」と言った後、「私が間違っていた。疑ってすまない。許してくれ。」と言うんです。このちょっとしたツンデレ描写がいいんですよ!本当の意味でビルボとドワーフたちが仲間になるシーンですね。これをラストに持ってくるあたりが流石です。

アクションも楽しかったです。特に私が好きなのは、はしごにオークをひっかけて谷に落とした後、そのままはしごを橋代わりに渡っていくシーンです。おもしろかったです。まぁアクションに関しては、相変わらずカメラが揺れたりと不満なところもあるわけですが。


その他の点について
・トーリンがイケメンで惚れました。服が他のドワーフより豪華なのは流石王子様といったところですね。
・トロルに食べられそうになるシーンはすごく愉快でしたね。ビルボにみんなして「裏切りやがって」とか「寄生虫野郎はお前だ」とか言うところは楽しかったです。
・エルロンド、ガラドリエル、ガンダルフ、サルマンの会合は、たまに遠くからのショットが入るのがよかったです。ガラドリエル様がうろついて、ドレスの裾が後ろに流れる様が美しかったですね。
・ガラドリエル様若返ってね?時系列的には若返ってても不思議じゃないんだけど、撮影時期的に若返って見えるってすごすぎます。
・3Dもそこそこよかったですよ。XpanDとIMAXで観たのですが、XpanDだと少し暗かったです。3Dで観るならIMAXがおすすめです。
・パンフレットはプロダクションノートが充実していました。情報が盛りだくさんなので、買って損はありませんよ!
・またスペシャル・エクステンデッド・エディションとか出るんですかねぇ。
・スランドゥイル様の酒乱なシーンは2作目以降で出てくるんでしょうか。楽しみすぎます。


まだまだ言いたいことはたくさんありますが、この辺にしておきます。とにかく楽しい作品でした。すでに2作目が楽しみで仕方ありません。おすすめです!!


マリー・アントワネットに別れをつげて感想(ネタバレ)

マリー・アントワネットに別れをつげて

原題:Les adieux a la reine
製作年:2012年
製作国:フランス・スペイン合作
上映時間:100分
監督:ブノワ・ジャコー
脚本:ブノワ・ジャコー
原作:シャンタル・トマ
撮影:ロマン・ウィンディング
音楽:ブリュノ・クーレ
キャスト:レア・セドゥー、ダイアン・クルーガー、ビルジニー・ルドワイヤン、グザビエ・ボーボワ、ノエミ・ルボフスキー

あらすじ
1789年7月14日、バスティーユが陥落し、王妃マリー・アントワネットとその寵愛を受けるポリニャック夫人の名前も載った286人のギロチンリストがベルサイユに突きつけられる。王妃に心酔する朗読係の少女シズニーは、それでも変わらぬ忠誠を誓うが、王妃からはポリニャック夫人の身代わりになるよう非情な命令を下される。(映画.comより)


70点

女だらけの三角関係 in ベルサイユ

フランス革命の最初の4日間を、マリー・アントワネットの朗読係の少女シドニーの視点から描いた作品です。楽しく観ることができました。

マリー・アントワネットを描いた作品は数あれど、彼女を朗読係の視点から描くというのはフレッシュですね。
最近、歴史学の世界では、歴史的事件の主人公以外の視点から歴史を描きだすのが流行っているらしいです。特に、無名の庶民の記録から見る歴史が流行っているということを聞いたことがあります。この作品も同じような系統と言えるかもしれません。マリー・アントワネットの朗読係ですから無名の庶民とは違いますが、事件の当事者ではなく、さりとて全く無関係ではないという点では、無名の庶民よりもおもしろい視点が得られるのではないでしょうか。
本作は、マリー・アントワネットの朗読係シドニー視点ということが徹底されています。シドニーのいないシーンがないんですね。そのため、観客はシドニーを通してしか情報を得られず、「ベルサイユの使用人から見たフランス革命」をリアルに追体験できます。革命翌日の情報が錯綜している感じや、使用人たちの野次馬根性丸出しな感じなんかは、とてもリアルでした。

ストーリー展開は、予告編以上のものはありません。それでも、話に惹きこまれてしまうのは、役者陣の繊細な演技が素晴らしかったからです。

まず、マリー・アントワネットを演じるダイアン・クルーガーがよかったです。
マリー・アントワネットが無意識のうちに「自分は愛されている」と思っており、それを疑いもしない感じが出ていました。傲慢かどうかはおいておくにしても、そこがマリー・アントワネットの人気の理由のひとつなわけですから、自分が愛と崇拝の対象だということを完全に内面化している雰囲気は必要不可欠なんですね。ダイアン・クルーガーはこの点をよく表現できていたと思います。気ままで自信たっぷりなマリー・アントワネットそのものでした。わがままで気まぐれに優しく、シドニーが好きになってしまうのも納得でした。ギロチンリストに自分の名前があるのを見て、愛と崇拝の対象という自己規定が崩れてしまったときの表情もよかったですね。

そして、シドニーを演じるレア・セドゥは見事の一言です。思春期をまだ脱しきっていない、どこか不安定な感じがとてもよかったですね。
「一人の女性を好きになったことはある?」と王妃に問われた時の表情は秀逸でした。「わかります。」と微笑んで答えながらも、王妃に対する恋心を打ち明けることは決して許されないことに対するもどかしさもしっかりと感じられました。
さらによかったのは、ポリニャック夫人の身代わりとなって馬車に乗っている時に、窓の外に手を振るシーンですね。王妃の愛情はポリニャック夫人に向いていたのですが、ポリニャック夫人はあっさり王妃を裏切ります。シドニーは、王妃の命令を聞き入れ、そんなポリニャック夫人の身代わりになることで、「王妃に忠実なポリニャック夫人」となるわけです。王妃の愛を受けるのにふさわしい者となるんですね。その意味で、これはシドニーの勝利であり、シドニーは使用人の格好をしたポリニャック夫人本人の目の前で、自由気ままにふるまってみせるわけです。このシーンが、悲しさがある一方で美しさと喜びがあるのは、レア・セドゥのおかげです。「そして私は誰でもなくなる」というラストのトーンともぴったりはまっていたと思います。このラストの着地が中途半端なものにならなかったのは、彼女の力と言わざるをえません。シドニーが彼女自身からも自由になったという悲しさと喜びが、説得力を持って伝わってきました。

この作品を観るにあたっては、一通りフランス革命の知識があった方がいいですね。シドニー視点で物語が進行するので、フランス革命史の一応の知識がないと、展開がよくわからないところが出てしまうかもしれません。と言っても、高校の世界史Bレベルの知識で十分です。

少しフランス革命関連の書籍を紹介しますね。
フランス革命についてちょっと詳しく知りたいという方は、河野健二の「フランス革命小史」(岩波新書)がおすすめです。やや古い本ですが、フランス革命のことがよくわかります。
フランスの歴史について知りたいという方には、柴田三千雄の「フランス史10講」(岩波新書)がいいですよ。フランク王国時代から、シラク大統領の時代までを200ページほどでカバーしています。コンパクトにまとまっていながら、エッセンスはしっかりと押さえられています。
そして、フランス革命をちょっと変わったおもしろい視点から見たいという方には、ロバート・ダーントンの「禁じられたベストセラー-革命前のフランス人は何を読んでいたか」(新曜社)が超おすすめです。革命前に禁書とされていた本や、それを流通させようとした人々の努力、その中で醸成されてくる革命への気運を描きだしています。歴史書でありながら、小説のような雰囲気もあって、読んでいて楽しいですよ。ロバート・ダーントンの著作はおもしろいものが多いので、他の著作もぜひ読んでみてくださいね。


マリー・アントワネット映画に新たな佳作が加わりました。ロココな雰囲気の中で繰り広げられる、美しい女性たちのゆりゆりした関係にドキドキしてしまいました。ラブストーリーとしてもよくできていましたよ。おすすめです。


007/カジノ・ロワイヤル感想(ネタバレ)

カジノロワイヤル

原題:Casino Royale
製作年:2006年
製作国:イギリス・アメリカ・チェコ合作
上映時間:144分
監督:マーティン・キャンベル
脚本:ポール・ハギス、ニール・パービス、ロバート・ウェイド
製作:バーバラ・ブロッコリ、マイケル・G・ウィルソン
製作総指揮:アンソニー・ウェイ、カラム・マクドゥガル
原作:イアン・フレミング
撮影:フィル・メヒュー
音楽:デビッド・アーノルド
美術:ピーター・ラモント
主題歌:クリス・コーネル
キャスト:ダニエル・クレイグ、エバ・グリーン、マッツ・ミケルセン、ジェフリー・ライト、ジャンカルロ・ジャンニーニ、ジュディ・デンチ

あらすじ
殺しのライセンス“00(ダブル・オー)”を取得するため、昇格最後の条件である2件の殺害を実行したジェームズ・ボンドは見事ダブル・オーの称号を得る。そして、犯罪組織の資金源を絶つという最初の任務に乗り出すのだった。まずはマダガスカルで爆弾所有の男を追い、そこから世界中のテロリストを資金面で支えるル・シッフルなる人物が一連の案件に深く関わっていると判明。続いてボンドは、バハマ、マイアミで武器売人と航空機爆破の阻止に奔走し、いよいよル・シッフルへ辿り着く。すると、ル・シッフルがモンテネグロの“カジノ・ロワイヤル”で大勝負に出ることが明らかとなり、ボンドは更なる陰謀を阻止せんと現地へ向かうのだった。しかし、そんな彼のもとには、財務省からお目付役として美女ヴェスパー・リンドが送り込まれる。最初は彼女に対して懐疑的だったボンドだが、危険を共にする中で次第に心惹かれていく…(allcinemaより)


72点

007シリーズの作品ということで、tukiwaさんにおすすめしていただいた作品です。ダニエル・クレイグが演じる6代目ボンドが初めて登場する作品です。とてもおもしろかったですよ。

冒頭のつかみからよかったです。
冒頭は白黒で、ボンドが00の称号を得るためのミッションを実行する場面を描いています。00の称号を得るためには任務で2人殺さなければならず、2人目を殺そうとしているシーンです。1人目を殺すシーンをカットバックすることで、状況を説明しながら、緊迫感もしっかり出していました。それでいて、2人目は1人目ほど動きのない殺し方なので、白黒の雰囲気と相俟ってどこかしっとりしたトーンになっていました。撃たれた瞬間に家族の写真がさっとよぎるのがいいですね。
オープニングは、カードをモチーフにしたアニメーションでした。このオープニングはかなり好みです。アニメーションよし、曲よしで、アニメーションと曲もよく合っています。オープニングの終盤にカラーで新ボンドお披露目というしかけですね。かっこよく決まっていました。

ボンドのキャラクターがよかったです。
エージェントのくせにやけに子供っぽいんですね。嫌味なおっさんの車をわざわざぶつけにいくところなんか、いやがらせが小学生並みでよかったです。かわいいヴェスパーをわざと困らせたり、ヴェスパーのために仕事をやめると言ってみたり、完全に小学生でしたね。初ミッションということで、まだ色々と手慣れていなかったり、それゆえにちょっとやりすぎてしまう感じもよかったです。

アクションも楽しかったです。見やすかったし、スピード感もそれなりにありました。
特に序盤の追いかけっこシーンはかなりよかったです。銃を使わずのガチ鬼ごっこなのですが、敵の動きがボンドよりもいいので、見ていて愉快でしたよ。敵が華麗に着地した後、ボンドが無様に転げ落ちるところなんかはおもしろかったですね。ボンドも大変です。

中盤からはカジノでのポーカーが話の中心になります。
映画でカードゲームを話の中心に持ってくると、よほど工夫しないと、全く盛り上がらない地味なものになってしまいます。本作では、ポーカーシーン自体にはさして工夫は見られないのですが、ポーカーの合間にアクションをもってきたり、毒を盛ったりと、ポーカー以外の見せ場を作ることで、興味を持続させてくれます。毒を盛られたシーンは大変でしたね。汗ダラダラで、息も切れ切れになっていて、緊迫感がありました。Mが毒を盛られたボンドを本気で心配するのもよかったです。どうしようもない部下だと思いつつも、なんだかんだでMはボンドのことが大事なんですよね。

ただ、ラストのヴェスパーが裏切り者だったという展開は、ちょっと残念でした。
展開として悪くはないのですが、そこまでで2時間の尺を使ってしまっているので、もうお腹いっぱいなんですね。拷問から生還するまでを1時間半くらいにおさめて、ボンドとヴェスパーがきゃっきゃするシーンをもう少し刈りこんでいればもっと楽しめたと思います。


その他の点について
・ボンドがヴェスパーにちょっかい出すところは、ボンドのにやけ顔が気持悪くてすごくいいです。特に、パスワードを設定するシーン、パスワードがなんだったかわかってから観ると最高に気持悪くていいですね。にやけすぎ。
・ヴェスパーを他のプレイヤーに見惚れさせる作戦だったはずが、ボンドが一番見惚れてるっていう。
・拷問シーンは壮絶でした。見てるだけで痛かったです。誰ですかあんな拷問思いついた変態は。
・しかも切除しようとしてましたからね。なぜにそこまでこだわる。「ハードキャンディ」のヘイリーちゃんか。
・Mまじおかん。


ダニエル・クレイグのボンドはしゅっとした現代的イケメンでいいですね。ストーリーもわかりやすく、とても楽しめました。


この作品をおすすめしてくださったtukiwaさんに感謝です。tukiwaさんは、「tukiwa's room」というブログを運営していらっしゃいます。麻雀についてのブログです。アニメや漫画についての記事もあって楽しいですよ。
tukiwa's room ←ここからtukiwaさんのブログにとべます。


最近のあれこれに関する備忘録的な話

今週は、時間を見つけて結構な頻度で映画館に行ったのですが、その時の話をする余裕がなかったので、ここ最近の備忘録的な話をまとめてしようと思います。

まず、「マリー・アントワネットに別れをつげて」の前売り券を買った話。
渋谷のBunkamuraル・シネマで「危険なメソッド」を鑑賞したついでに、今週の土曜日に公開になる「マリー・アントワネットに別れをつげて」の前売り券を購入しました。
前売り券はこんな感じ↓
マリー・アントワネット5

前売り特典として、ポストカード4枚がついてきました。
こんな感じ↓
マリー・アントワネット4
マリー・アントワネット2
マリー・アントワネット1
マリー・アントワネット3
美麗ですね。

主人公の朗読係の女の子見たことあるなーと思ったら、「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」で童顔暗殺者を演じたレア・セドゥでした。可憐な人ですよね。
「危険なメソッド」の前に予告編も流れていました。とても楽しみにしています。


次。「LOOPER/ルーパー」の前売り券を買った話。
Tジョイ大泉で「人生の特等席」2回目を鑑賞した時に、「LOOPER/ルーパー」の前売り券を買いました。
こんな感じです↓
ルーパー前売り

前売り特典として、金塊メモというのがついてきました。表紙が金色で中の紙が黄色のメモです。外見は光って写真撮れませんでした。
中身はこんな感じ↓
ルーパーメモ
表紙もこんな感じの絵がついています。「危なくなったら投げつけろ!」と煽り文句がついていました。
予告編も劇場で流れるようになりました。楽しみです。


クリスマスな話。
12月21日に世界は滅亡しないらしいので、今年もどうやらクリスマスが来るみたいです。エメリッヒは適当なことばっかり言うから嫌ですね。
ということで、友人にクリスマスカードを送るべく、クリスマス仕様の切手を買ってみました。
こんな感じ↓
クリスマス切手
かわいくは…ないですけどw カードはこれから見つくろいます。

クリスマス映画特集をするとか言っておきながら、クリスマス映画と言えば「ホームアローン」しか思い浮かびません。さっさと決めてTSUTAYAに借りにいかないとなんですけどね。なにか作品をご存じの方は、ぜひ教えてください。
ちなみに、私が子供の頃、クリスマスには必ずディズニーの「ファンタジア」を観ていました。ラストの「アヴェ・マリア」がとても好きでした。「ファンタジア」って多分くくりとしてはクリスマス映画ではないですよね。我が家独自のクリスマス映画です。


最近はこんな感じでした。おしまい。


プリズナー・オブ・パワー/囚われの惑星感想(ネタバレ)

プリズナー・オブ・パワー

原題:Obitaemyy ostrov
製作年:2008年
製作国:ロシア
上映時間:120分
監督:フョードル・ボンダルチュク
原作:アルカージー・ストルガツキー、ボリス・ストルガツキー
脚本:エドゥアルド・ボロダルスキー、マリーナ・ディアチェンコ、セルゲイ・ディアチェンコ
撮影:マキシム・オサトチー
音楽:ユーリ・ポテイェンコ
キャスト:ワシリー・ステバノフ、ピョートル・フョードロフ、ユーリヤ・スニギーリ

あらすじ
2157年、自由調査団の宇宙船パイロット、マクシムは、隕石事故に巻き込まれて宇宙船が故障。謎の惑星サラクシに不時着する。しかし、そこは軍事政権「匿名の父たち」が住民を洗脳し、全てを支配する星だった。地球に帰る手立てを探すマクシムは、やがて反政府組織「ニュータイプ」と合流し、「匿名の父たち」を打倒する戦いに身を投じる。(映画.comより)


12点

予告編のチープさに地雷臭を感じながらも、あえて踏みに行ったら本当に大怪我を負ってしまった。

多分観ない人が大半だろうと思うので、さらっと感想を並べるだけにしておきますね。

まず、ストーリーが雑すぎて、飲みこみづらいし、1時間も経たないうちに飽きてしまいました。
先に擁護しておくと、本作はもともとロシアでは2部作構成で公開されていたものを、1作にまとめたインターナショナル版です。細かいディテールが落ちてしまうのは仕方のないことなのかもしれません。
しかし、それならロシアバージョンと同じく2部作として公開すればよかったのです。ディテールどころか重要なところまで落ちてしまっているのではないでしょうか。ストーリーが本当に飲みこみづらかったです。ガイはなんでマクシムに素質があると思ったんだよとか、スパイの件がわかりづらすぎだよとか、いつのまに刑務所から出たんだよとか、洗脳いつのまに解けたんだよとか、とにかく説明不足でした。

特に説明不足だったのは、マクシムがニュータイプの反政府組織に見方するようになった理由です。死刑になったニュータイプを殺せと言われて森の中に入っている間に、なにがあったのか全く説明がないまま、ニュータイプに見方することになるんですね。電波でニュータイプが苦しんでいる件も、洗脳の件も、後で出てくるので、そこでは理由になりえません。よその惑星の反政府組織に見方するんだから、それなりの理由があってしかるべしなんですが、それは全く描かないんです。主人公のそもそもの動機を全く描かないため、ただでさえめちゃくちゃな主人公の行動が、本当にただの場当たり的な行動に見えてしまいます。

主人公マクシムの場当たり的な行動は、ストーリーがわかりにくくなるだけでなく、観ていてイライラしました。というより、マクシムがほとんど狂人のようにしか見えませんでした。
戦車に乗って南に行くところで、ガイが「死ぬからやめろ」というのに対し、「自分の命だ。自分で決める。」と言うのはいいのですが、そこでガイを連れていくのは全く意味がわかりません。南に行くのが危険なのは、洗脳云々は関係ないのですから、ガイを無理やり連れて行くのはどうなんでしょうか。マクシムは地球人だから滅多なことでは死にませんが、ガイは普通に死んでしまいますよね。自分の命をどうするかは自分で決めるというのなら、ガイの命をどうするかもガイに決めさせるべきでないの?と思ってしまいました。というか、マクシムって基本頭悪いし自己中心的ですよね。
ラストもひどかったです。そんな大事なことを「忘れてた!」ってアホか!!20年前にサラクシに来ていたという地球人にぶんなぐられ、説教されて、マクシムも改心するのかと思ったら、まさかの開き直り。あのいかにも薄っぺらな綺麗事にはがっかりでしたね。本当にお前さっさと地球に帰れよ…

2時間のうちにたくさんの固有名詞が次々と出てくるのも、わかりづらさに拍車をかけていました。しかも固有名詞が出てくるのはいいのですが、説明がほとんどないわ、説明があっても人によって説明が違うわでなにがなにやらさっぱりわからなかったんですね。結局ニュータイプってなんだったんでしょうね。特殊な人体構造を持った人で、洗脳が効かないというのはわかったんですが、突然変異した人みたいなものなんでしょうか。ミュータントはミュータントとして別にいるみたいではありましたけどね。

とはいえ、いいシーンもありましたよ。
私が好きなのは、賢者と呼ばれる人のシーンですね。重ね着しまくった黒い服の子供で、ブランコに乗っていて、口がなく脳に直接語りかけるのですが、このミステリアスな感じは好きです。また、この賢者のセリフがとてもいいんです。マクシムが、良心のために理性がなくなってしまっていると指摘するんですね。全くもってその通り。そして、その良心でさえもすごく表面的なものであること、すなわちこの社会のバランスを崩そうとしていることを指摘します。さすが賢者ですね。すばらしい指摘です。
この賢者との邂逅を、単なるできごととして描いてしまったのはもったいないところです。むしろこちらをテーマに据えた方がよかったのではないでしょうか。ラストの地球人との対決も、同じ点が問題になっていましたしね。


ロシア製SFということで、楽しみにしていたのですが、ちょっとがっかりでした。もとのロシア公開バージョンの方を観てみたいですね。


砂漠でサーモン・フィッシング感想(ネタバレ)

砂漠でサーモン・フィッシング

原題:Salmon Fishing in the Yemen
製作年:2011年
製作国:イギリス
上映時間:108分
監督:ラッセ・ハルストレム
製作:ポール・ウェブスター
製作総指揮:ジェイミー・ローレンソン、ポーラ・ジャルフォン、ジギー・カマサ、ガイ・アブシャロム、スティーブン・ギャレット
原作:ポール・トーディ
脚本:サイモン・ビューフォイ
撮影:テリー・ステイシー
美術:マイケル・カーリン
編集:リサ・ガニング
音楽:ダリオ・マリアネッリ
キャストユアン・マクレガー、エミリー・ブラント、クリスティン・スコット・トーマス、アムール・ワケド、トム・マイソン

あらすじ
英国の水産学者ジョーンズ博士のもとに、砂漠の国イエメンの大富豪から、鮭釣りがしたいのでイエメンに鮭を泳がせてほしいという依頼をもちこまれる。そんなことは不可能と一蹴したジョーンズだったが、中東との緊張緩和のためにと外務省が支援を決め、首相まで巻き込んだ荒唐無稽な国家プロジェクトに展開してしまう。(映画.comより)


55点

今月公開作品の中でもかなり期待していた作品です。予告編のいい感じの色遣いにすっかりやられてしまいました。

前半はとてもよかったです。
物語は、いきなり砂漠で鮭釣りがしたいという富豪の依頼がジョーンズのもとに持ち込まれるシーンから始まるのですが、これは正解だったと思います。タイトルにもなっている「砂漠でサーモン・フィッシング」というとんでもない話で、物語のつかみにしているのはよかったです。ところで、「砂漠でサーモン・フィッシング」という邦題いいですね。原作の邦題は「イエメンで鮭釣りを」というもので、原題にも忠実なのですが、「砂漠でサーモン・フィッシング」の方がキャッチーで語感もいいです。
物語のつかみを含めて、前半はテンポよく進んでいきます。ハリエットとジョーンズのメールでのやりとりや、パトリシアの心の中の声のところなんかは、画的にもしかけとしてもおもしろかったですよね。キャラクターの説明の手際もよかったです。

しかし、後半は失速してしまった印象があります。前半のようなスピード感のある編集がなくなってしまって、ストーリーももたついてしまっていました。
ストーリーのもたつきの原因は、プロジェクトが進んでいる感じがないというところにあります。具体的にプロジェクトが進んだという描写がなかったため、最終的にはジョーンズの思いつきを金で実現しただけという印象になってしまいました。唯一、具体的にプロジェクトが進んだと思われた、中国のダムの技術者の人との話し合いも、どんなことを話して、プロジェクトにどんな前進があったのかわかりませんでした。

また、砂漠でサーモン・フィッシングをするにあたっての様々な問題があまりクリアされていませんでした。クリアすべき課題は、序盤でいくつも提示されたにも関わらず、鮭の確保以外の話が全く出てこないんですね。鮭を生きたまま輸送する手段はいつの間にクリアしたのでしょうか。
鮭の確保の話にしたって、サグデンが頑張っていただけで、肝心のジョーンズとハリエットはほとんど何もしていないように見えてしまいました。ジョーンズは序盤はハリエットを困らせようとするだけだし、ハリエットは恋人が行方不明になると家でめそめそするだけで、この2人がプロジェクトのために何をしたのかさっぱりわからないんですね。もう少し、ジョーンズとハリエットがプロジェクトのために様々な困難を乗り越える具体的描写があるとよかったです。

一番ひっかかったのは、養殖の鮭ではダメだという件があっさりと覆されたところですね。
養殖の鮭でなければ鮭は提供できないという、プロジェクト自体が立ち消えになってしまうような条件をつきつけられても、「それは私の理想とは違う」と言ってつっぱねたシャイフが、「養殖の鮭でも大丈夫。私にはわかるんだ。」というジョーンズの寝言としか思えないような発言にあっさり納得するのは、全く説得力がありません。釣りにおける信じる心を信仰になぞらえることができるのは、それが忍耐に裏付けられているからということをシャイフも言っていたはずです。「こうなってほしい」という願望だけでは、シャイフが嫌う傲慢さ、或いは単なる押しつけになってしまいます。ここでなんの根拠にも裏打ちされていないジョーンズの願望をシャイフが受け入れるのは、全体のテーマからも外れてしまうのではないでしょうか。無理矢理でもいいから、ワンロジックほしかったところですね。

キャラクターの描き方はとてもよかったです。
ジョーンズのオタク学者っぽい感じ、野暮ったくてぼんやりした感じがよかったですね。ユアン・マクレガーは本当にこういう役が似合います。ハリエットの彼氏に「ハリエットのことが好きなんだ。」と言って、「うん。彼女っていい子だよね。」と返されたときに、「違う。ハリエットのことが好きなんだ。」と言うシーンが好きです。何か気のきいたことを言うでもなく、全くひねらずに同じセリフを言うところがジョーンズらしいですよね。
そして、私の一番のお気に入りは、首相広報担当官のマクスウェルです。口はまわるわ、頭は切れるわでとにかくすごい女性なのですが、ジョーンズたちとは根本からズレているんですよね。でも、必要なことはてきぱきとこなすし、反抗期の子供も見事にさばくミラクルキャリアウーマンです。勝ち馬に乗ろうとするオポチュニストなところも好きですよ。

パンフレットはB6というミニサイズですが、中身の構成は凝っているし、内容も充実しているし、おもしろくてお得感があります。キャスト、スタッフのインタビューだけではなく、原作の情報もあるし、本当にあったありえない国家プロジェクトの話なども載っていて、読み物としてもおもしろいですよ。


「砂漠でサーモン・フィッシングするだけ」というタイトル出オチの映画にせず、様々な人の夢や恋をからめた話にしたのは素晴らしいです。ユアン・マクレガーのゆるふわ感に癒されました(*´∀`)


危険なメソッド感想(ネタバレ)

危険なメソッド

原題:A Dangerous Method
製作年:2011年
製作国:イギリス・ドイツ・カナダ・スイス合作
上映時間:99分
監督:デビッド・クローネンバーグ
製作:ジェレミー・トーマス
脚本:クリストファー・ハンプトン
原作:ジョン・カー、クリストファー・ハンプトン
撮影:ピーター・サシツキー
美術:ジェームズ・マカティア
衣装:デニース・クローネンバーグ
編集:ロナルド・サンダース
音楽:ハワード・ショア
キャスト:キーラ・ナイトレイ、ビゴ・モーテンセン、マイケル・ファスベンダー、バンサン・カッセル、サラ・ガドン、アンドレ・ヘンニック、アルンドゥト・シュベリング=ゾーンレイ

あらすじ
1904年、若き精神科医ユング(マイケル・ファスベンダー)は高名な精神分析医フロイト(ヴィゴ・モーテンセン)が提唱する画期的な治療法を、新しく受け持った患者ザビーナ(キーラ・ナイトレイ)に実践する。そしてユングは彼女が抱えるトラウマの原因を突き止めるが、二人は医師と患者の一線を越え禁断の関係に。やがてザビーナの存在は、ユングとフロイトとの関係に確執をもたらしていき……。(シネマトゥデイより)


95点

これは傑作!!
渋谷に行ったついでに観たのですが、渋谷に行く用事がなければ見逃していたかと思うと、おそろしい気がするくらいの傑作でした。間違いなく今年最も観るべき映画のひとつだと思います。

精神分析の礎を築いたフロイトとユングの友情、やがて訪れる2人の歴史的な決別、そして2人の間にいた1人の女性ザビーナ・シュピールラインを描いた作品です。
フロイトやユングはよく知られた人ですよね。本作にも有名な史実が盛り込まれていて楽しかったです。フロイトが学会で失神したことや、フロイトがユングに自分の夢の話をしようせず、決別への序章になったことなど、見ていておもしろかったですよ。

さて、フロイトとユングももちろん話の中心ではあるのですが、本作のキーパーソンはユングの患者であるザビーナ・シュピールラインです。
彼女は、もとは精神分裂症患者としてユングの診療所にやってくるのですが、やがてユングと一線を超えてしまいます。後にユングとは別れ、精神分析学において高い業績をあげることになり、フロイトとユングの学説に多大な影響を与えたと言われています。

このザビーナ・シュピールラインをキーラ・ナイトレイがものすっっっっごい体当たり演技で演じています。怪演でした。特に冒頭の精神分裂症発作シーンの尋常ではない顔と動作は素晴らしかったです。顔面を崩壊させながら、叫び、暴れ、哄笑する様は壮絶でした。この冒頭のシーンで一気に作品に惹きこまれました。
さらに、キーラの精神分裂症患者演技はもちろんすごかったのですが、彼女の素晴らしいところは、そのような演技をしていてもなお、ザビーナが強い意志と知性を持っていることを矛盾なく表現できていたところです。
初め、ザビーナは精神分裂症患者として、医師のユングのもとにやってくるのですが、ラストではむしろ医師であるユングが精神の均衡を崩して病んでしまい、ザビーナがそんなユングを見舞うという立場の転換が起きます。この展開を成立させるためには、ザビーナがただの狂人のように見えてしまってはダメなのです。キーラ・ナイトレイはしっかりとこの点をクリアしていました。自分の意見を言うときの眼から、意志と知性のある女性という感じがしっかりと出ているんですね。素晴らしかったと思います。

また、ストーリーが秀逸でした。
ユングとフロイトの描き方が特によかったです。フロイトとユングが友情を深めていくパートで、すでに2人が根本的に噛み合っていないことを暗示する表現があって、後の展開にしっかりつながっていました。例えば、フロイトは「我々」という言葉を多用するのに対して、ユングの方はそういう言葉をほとんど使いません。精神分析に対する2人のスタンスが根本から違うということをよく表していると思います。
この2人がそれぞれ最後には精神の均衡を崩していく過程もよかったです。ユングが外在化の話をしているうちに狂人めいてきたり、フロイトがユングに疑いを抱きはじめ、学会で失神してしまったりと、医師であるはずの2人が精神の均衡を崩して病んでしまうのはおもしろいです。グロスが言っていたように、この2人は他人の分析はできていても、自分の分析はできておらず、最後には自らの闇に飲まれてしまうんですね。

そして、前述の通り、フロイトとユングが病んでしまうのに対して、今度はザビーナの方がこの2人をとりなし、見舞います。ザビーナは精神分析によって自らの闇に向き合い、これを制御する術を身につけるんですね。序盤では医師のユングが患者のザビーナを見るという構図になっているのですが、中盤のスパンキングシーンではザビーナが鞭打たれているザビーナ自身を見るという構図になり、ラストはエマがユングをザビーナに託し、ザビーナがユングを見つめるという構図に変わっていきます。立場の逆転、ザビーナの回復とそれに対応する形でのフロイトやユングの崩壊を見事に描いていました。

その他の点について
・ザビーナの眉間にしわを寄せるところが、頭のいい人の感じでよかったです。
・エマさんまじ健気。
・グロスよかったです。ユングが言うところの「俗物」的なものの権化ですよね。「衝動に降伏してしまえ」というセリフが印象的でした。
・パンフレットは内容が薄めでした。監督のインタビュー、プロダクションノートの他は解説ばっかりでした。なぜか占星術師の鏡リュウジの解説がありましたよ。ちなみに、あらすじはラストの展開までしっかり書いてありました。


本当に面白い作品でした。なんでもっと早く観なかったのか悔やまれるばかりです。
今年の映画の中でも、かなりいい作品でしたよ。超おすすめです!!


007/スカイフォール感想(ネタバレ)

スカイフォール

原題:Skyfall
製作年/国:2012年/アメリカ
上映時間:143分
監督:サム・メンデス
製作:マイケル・G・ウィルソン、バーバラ・ブロッコリ
製作総指揮:カラム・マクドゥガル
脚本:ニール・パービス、ロバート・ウェイド、ジョン・ローガン
撮影:ロジャー・ディーキンス
美術:デニス・ガスナー
衣装:ジャイニー・テマイム
編集:スチュアート・ベアード
音楽:トーマス・ニューマン
主題歌:アデル
キャスト:ダニエル・クレイグ、ジュディ・デンチ、ハビエル・バルデム、レイフ・ファインズ、ナオミ・ハリス、ベレニス・マーロウ、ベン・ウィショー、アルバート・フィニー、ロリー・キニア、オーラ・ラパス

あらすじ
各国のテロ組織に潜入している工作員を記録したMI6のハードディスクが何者かに奪われ、ボンドは犯人を追いつめるが、MI6の長官Mの命令で放たれた銃弾に撃たれ、橋の上から谷底へと落ちていく。Mはリストが奪われた責任を追及され辞職を迫られるが、これを拒否。しかしその直後、リストを奪った犯人によりMI6のオフィスが爆破され、さらなる犠牲者を出してしまう。このニュースを見たボンドは再びMのもとへ舞い戻り、現場へ復帰。犯人の手がかりを求めて上海へと渡る。(映画.comより)


82点

※正直点数盛り過ぎました。だって最後の大爆発がすごかったんだもん!!

007シリーズを観たことのない人間が、007シリーズ最新作に挑戦するよ!!

私は、007シリーズを観たことがなかったのですが、なんとなく「最強のスパイ007が敵を皆殺し」という感じのものだろうと思っていました。セガール系映画だと思っていたんですね。
しかし、これは完全に勘違いでした。負傷しているとはいえ銃の命中率だって低いし、女の子には手を出しまくるし、アルコールや薬物の依存症になりかかっているしで、びっくりしました。007って結構人間臭いというかダメ人間寄りなんですねw

さて、本作は007シリーズの23作目にあたるわけですが、過去の作品を観たことがなくてもほとんど問題ありませんでしたよ。とても楽しめる作品でした。

まず、アクションシーンがよかったです。スピード感があって、しかも見やすく、見ていてテンションが上がりました。
冒頭の追いかけっこシーンからボンドの落下シーンまでが、とてもいいつかみになっていました。屋根の上でのバイクチェイスって私は見たことがなかったので、フレッシュかつ迫力があって一気に惹きこまれました。電車の上での戦闘もかっこよかったです。クレーンを伝って電車に乗り込むシーンはすごかったですね。そこで袖口をちょいちょいっと直す動作がすごくクールでした。乗客びっくりですよ。そこから電車の上での戦闘になるわけですが、しばらくは近くで戦闘を見せ、その後は遠くにいる相棒のエージェントのイヴ視点になるのもよかったです。近くで見ていると緊迫感があるのですが、引きで見ると異常な光景で、とんでもないことをボンドがやらかしているということがよくわかりました。そりゃ報告難しいわ。
その他にも、高層ビルの窓際で殴り合いをするシーンなんかは影のみで見せていてかっこよかったし、落ちるか落ちないかというハラハラ感もあってよかったです。そして、なんといってもラストの大爆発ですよね。ここ最近の映画の中で、最もド派手な爆発でした!大満足です!!

ストーリーもなかなかよかったです。
シルヴァのMに対する復讐、ボンドと或る意味ボンドの影といえるシルヴァの対決を中心にして描いているわけですが、ストーリーがきちんと整理されていてわかりやすかったです。次第に真相がわかっていく過程、そしてやがて全てシルヴァのシナリオ通りだったとわかる過程はドキドキしました。
ただ、欲を言えば、ラストのボンドのシルヴァへのリベンジは、もう少しボンド優位だと私好みでした。それまでは、すべてシルヴァのシナリオ通りに事が進んでいて、それに対する報復としてボンドはシルヴァを故郷に誘い込むわけですから、最初の刺客を蹴散らすだけではなく、もう少しシルヴァを追い詰めてほしかったです。Mを追い詰めるためには、ボンド優位だと困るのはわかるんですけどね。最新の技術と昔ながらのやり方を組み合わせてシルヴァを追い詰めるという展開があると、もっとあがったと思います。シルヴァは昔ながらの泥臭いやり方を嫌うけれども、ボンドの昔ながらのやり方とMI6の最新技術を組み合わせると最強になるんだという描写があれば、本当は復帰テストに落ちていたボンドが、Mが代替わりした後もエージェントをやり続けるのにも説得力が出てよかったのではないでしょうか。

そういう意味でも、Qにもっと活躍してほしかったですね。無線もワルサーも1回ずつしか活躍しなかったので、ガジェット好きとしてはちょっと不満でした。Qもシルヴァに出し抜かれっぱなしだったので、ボンドの故郷までシルヴァを誘い込む以上の活躍があった方がよかったです。
と言うのも、Qがめちゃくちゃ私好みのメガネ君だったからなんですけどね!!あのメガネ具合とかナードはいってる感じとか好きです。付き合って。ということで、次回作ではQの活躍シーンを希望します。

その他の点について
・ダニエル・クレイグのボンドよかったです。イケメンイケメン。
・ボンドが撃たれて列車の上から落ちてからのオープニング的なものは、007シリーズではおなじみのものなのでしょうか。007シリーズ初心者の私は、「それ今やんなきゃダメ?」と思ってしまったのですが。
・エージェントの皆さんは、任務中ジャージの方がよくね?
・ボンドが剃刀でひげそりをしてもらうシーンは「ウーマン・イン・ブラック」よりこわかったです。お尻がむずむずするからやめれー。
・ボンドがシルヴァにさわさわされるシーンはなんだったの?シルヴァはアッチの人か!!
・と思いきやまさかのMへの愛。熟女好きか!!
・007シリーズ的ディテールもいろいろあるんだと思いますよ。私はボンドカーしかわかりませんでしたが。ラストの「ミス・マニーペニー」もなにかありそう。
・パンフレットは、007シリーズ50周年作品らしく、007についての情報もたくさん入っていましたよ。内容が充実していました。
・私はIMAXで観たのですが、IMAXで観るラストの大爆発シーンは圧巻です。


007シリーズを知らない人も、すんなり入っていけて、しかもとても楽しめる作品でした。とにかくあの大爆発シーンは必見です!おすすめですよ。


ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還<スペシャル・エクステンデッド・エディション>感想(ネタバレ)

the lord of the rings

原題:The Lord of the Rings: The Return of the King
製作年:2003年
製作国:アメリカ
上映時間:250分
監督:ピーター・ジャクソン
製作:バリー・M・オズボーン、ピーター・ジャクソン、フラン・ウォルシュ
製作総指揮:マーク・オーデスキー、ボブ・ワインスタイン、ハーベイ・ワインスタイン、マイケル・リン、ロバート・シェイ
共同製作:リック・ポーラス、ジェイミー・セルカーク
原作:J・R・R・トールキン
脚本:フラン・ウォルシュ、フィリッパ・ボウエン、ピーター・ジャクソン
撮影:アンドリュー・レスニー
美術:グラント・メイジャー
衣裳:ナイラ・ディクソン、リチャード・テイラー
編集:ジェイミー・セルカーク、アニー・コリンズ
特殊メイク:リチャード・テイラー
特撮:ジム・ライジール
コンセプチュアルデザイン:アラン・リー、ジョン・ハウ
音楽:ハワード・ショア
主題歌:アニー・レノックス
キャスト:イライジャ・ウッド、イアン・マッケラン、リブ・タイラー、ビゴ・モーテンセン、ショーン・アスティン、ケイト・ブランシェット、ジョン・リス=デイビス、バーナード・ヒル、ビリー・ボイド、ドミニク・モナハン、オーランド・ブルーム、ヒューゴ・ウィービング、ミランダ・オットー、デビッド・ウェンハム、カール・アーバン、ジョン・ノーブル、アンディ・サーキス、イアン・ホルム、ショーン・ビーン、ローレンス・マコーレ、ポール・ノレル、マートン・ソーカス、ブルース・ホプキンス、ブルース・フィリップス、アラン・ハワード

あらすじ
アラゴルンやガンダルフたちの活躍でサルマン率いる1万を超える軍隊に勝利を収め人間の国ローハンの人々を救った旅の仲間たち。メリーとピピンもエント族の助けを借りてサルマンが支配するオルサンクの塔を破壊、サルマンの封じ込めに成功する。しかし喜びも束の間、冥王サウロンは、もう一つの人間の国ゴンドールに20万もの軍を送り込む。中つ国最後の砦、ゴンドールを死守するため、旅の仲間たちはもちろん、長らく国交が途絶えていたローハンの人々も立ち上がる。一方その頃、サムと共にモルドールの滅びの山を目指して旅を再開していたフロドは、指輪の魔力にいよいよ押し潰されようとしていた…。(allcinemaより)


100点

※例によって思い入れ補正がかかりまくっています。ご了承ください。

またまた新宿ピカデリーにて、「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」スペシャル・エクステンデッド・エディションを観てきました。
今回の上映時間は4時間10分。指輪物語オタクたちの狂気の宴でした。

4時間超えではありますが、途中10分くらいの休憩が入ります。観客に優しい仕様でしたよ。とはいえ、11時55分から始まって、終わったのが16時20分くらいでいしたので、体調が万全かつ他に用事のない日に観に行くのがいいと思います。


さて、「王の帰還」ですが、何度観てもいいですね。まさしく指輪物語ファンが見たかった指輪物語だと思います。

この作品の素晴らしいところは、「仲間」という指輪物語のエッセンスがしっかりつまっているところです。「旅の仲間」のラストで仲間は離散してしまうのですが、「二つの塔」を経て仲間の絆はむしろ深まっており、そして「王の帰還」に結実しています。
「王の帰還」では、たくさんの戦闘シーンがあるのですが、そこで描かれる戦いは、国やミドル・アースのためのものというよりも、仲間のための戦いです。もちろん、大義として国やミドル・アースのためということはあるのですが、一人ひとりが戦う動機は、むしろ自分の仲間のためというところにあります。このことは、メリーの「僕はホビットだ。中つ国を救う力なんてない。でも友達を助けたいんだ。」というセリフによく表れていますね。また、エオウィンがセオデンを助けるためにアングマールの魔王に立ち向かうシーンや、最後の戦いの場面でアラゴルンが「フロドのために」というシーンにも表れています。仲間のために、仲間を信じて、勇気を出して戦うシーンには心打たれますよね。最後の戦いのアラゴルンの演説が心に響くのも、そのためだと思います。

また、登場人物の行動が、仲間のためという手の届く範囲、目に見える範囲の動機に支えられているために、どんなに絶望的な状況に至っても、どこかに希望が残っていると思わせてくれて、最終章らしい重みを保ちながらも、ラストに近づくにつれどんどんしめっぽくなるという事態を回避することができています。
特に、いつでもフロドのために戦うサムはよかったですね。「王の帰還」はサム無双。実際、物理的にはフロドより戦っていましたしね。シェロブと戦ったり、オークを倒したりと素晴らしい戦いっぷりでした。そして、何といっても滅びの山での「指輪の重荷は背負えないけれど、あなたのことは背負えます」と言って、フロドを背負って山を登っていくシーンは号泣ものでした。
他にも、白の木に一輪だけ咲いた花や、死にすら希望を見出すガンダルフとピピンの会話など、絶望のうちにあっても希望は残っているんだという表現があってよかったです。

その他の点について。
・メリー&ピピンよかったです。メリーがずっとお兄ちゃん的立場だったのに、戦場でピピンがメリーのことを見つけるシーンでは、ピピンが「君の面倒をみるよ」なんて言っていて、2人の友情がとてもよく伝わってきました。
・デネソール候食べ方汚いっす。
・レゴラス&ギムリがまたまたいい味出してましたね。飲み比べシーン最高ですw
・フロドがシェロブに刺されてぐったりした様は怖かった。
・アラゴルンは王様姿より、小汚い姿の方が似合ってる気がする。
ファラミア様結婚して!!


子供の頃好きだった物語が、こんな風に映画化されるのは、とてもうれしいことです。指輪物語が好きな人なら、必見の映画です。また、原作を読んでいない人も楽しめるつくりになっているので、そういう人にもおすすめできる作品ですよ。
今月公開の「ホビット」もとても楽しみにしています。


ダーケストアワー 消滅感想(ネタバレ)

ダーケストアワー

原題:The Darkest Hour
製作年:2011年
製作国:アメリカ
上映時間:90分
監督:クリス・ゴラック
製作:ティムール・ベクマンベトフ、トム・ジェイコブソン
製作総指揮:アーノン・ミルチャン、モニー・ウィルス
キャスト:エミール・ハーシュ、オリビア・サールビー、マックス・ミンゲラ、レイチェル・テイラー、ジョエル・キナマン

あらすじ
ビジネスチャンスを求めてモスクワにやってきた若き起業家のショーンとベンは、訪れたナイトクラブで突然の停電に見舞われる。外に出ると空から無数の光が降り注ぎ、地上に降り立った光は姿を消し目に見えなくなるが、それに触れた人間は跡形もなく粉砕されてしまう。その正体は地球侵略のためにやってきたエイリアンで、すでに世界各国で侵略が始まっていた。ショーンとベンは侵略者から世界を守るため見えない敵に立ち向かうが……。(映画.comより)


40点

前情報をほとんど入れずに観たのですが、とんだ地雷でした。・゚・(ノ∀`)・゚・。


序盤の気の利いたつもりらしいやりとりやジョークが、ことごとくすべっているところからそんな気はしていたのですが、話が全く盛り上がらなかったです。

姿の見えないエイリアンがやってくるシーンが一番の盛り上がりでした。それ以降は、終盤まで結構だるいテンションで話が進みます。仲間が死ぬシーンやエイリアンと対決するシーンなど、ちょこちょこした盛り上がらないでもないシーンはあったのですが、さしたる盛り上がりにはならないまま、だらだらしたテンションが続いていました。

脚本を書いているのが「プロメテウス」の脚本家と聞いて納得でしたね。私は「プロメテウス」は観ていないのですが、予告編を観て、「うわー、盛り上がらなさそー」と思ってしまいました。本作は、その「プロメテウス」の予告編の雰囲気がそのまま出ていました。トム・クルーズの「宇宙戦争」のテンションに近いかもしれません。

序盤のエイリアン登場シーンは盛り上がりました。

ふわふわと金色のクラゲのようにエイリアンが地上に降り立つ様は美しいのですが、一旦そのエイリアンが本性をむきだしにすると、今度は恐ろしい凶器として人々に襲い掛かります。ここで、エイリアンが人を襲って、人がきらきらした粉になってしまうという本作のキービジュアルが示されるのですが、衝撃的かつどこか美しさを感じるビジュアルになっていました。

そして、エイリアンが次々と人を襲うシーンも迫力があってよかったですよ。ここでは、エイリアンは機敏に動いて人を襲いまくるので、見ていて退屈しません。このシーン以外は、エイリアンに見つかるか見つからないかというステルスゲー的な緊張がメインになってくるので、長く続くと正直退屈でした。しかも、見つかっても序盤のシーンほど機敏に動かないんですよね。これにはがっかりです。

ストーリーの展開も無理があるところが多かったです。

特に、エイリアンに対抗するゲリラと合流してから、彼らについてきてもらって潜水艦まで行くところは、杜撰にもほどがあると思います。エイリアンに襲われていたところを助けてもらって、そこから潜水艦まで行こうとするのですが、ゲリラは「潜水艦のあたりにはエイリアンがたくさんいるからやめておけ」と言って止めます。しかし、それに対して主人公たちは、「助けるなら最後まで助けろ」という全く理屈として通っていない単なる厚かましいわがままでゲリラについてきてもらうんですね。エイリアンに対抗する手立てをしっかり考えて、情の問題としても、そして理屈の上でも主人公たちを助ける理由があるんだということを示さないと、はっきり言って主人公たちはとんだ自己中心的な鬼畜野郎ですよ。せめてセルゲイの作った武器がちゃんと使えるという展開を、もう少し前に持ってくればギリギリ説明はついたと思います。命の危険を情の問題で棚上げにされたんじゃ、たまったもんじゃないですよ。

ラストの主人公たちが「人類の逆襲だ」的なことを言ってドヤ顔しているシーンは、つっこむ気力すら起こりませんでした。お前らなんもしてないだろ!ただただ闇雲に突っ走っていって、いろんな人の命を危険にさらしただけだろ!!後ろにいた原子力艦の乗組員が「なにいってんのコイツ」という顔をしていましたが、本当にそんな顔にもなりますよね。というか私がまさに同じ顔をしていましたw

姿の見えない敵をどう描くのかがとても気になっていたところでした。

エイリアンは完全に姿が見えないわけではなく、一応金色のクラゲみたいな姿で、透明シールドを張れるという設定になっていました。そして、敵が近付くと電気機器が作動するという設定になっていて、例えばエイリアンが近づいてくると街頭がひとりでに点いたり、携帯電話が勝手に鳴ったり、車のライトがついたりクラクションが鳴ったりするというしかけになっていました。

これは正解だったと思います。ほとんど人がいない状況で、勝手に電気機器が作動するというのは、ホラー的な演出になっていておもしろかったし、緊張感も出ていました。

ただ、後半に出てくるエイリアンの真の姿はほんっっっっっとうに残念極まりなかったです。ここ最近で最大のやってもうた(ノ∀`)アチャー感が出ていました。もろCGかつチープ極まりない外見になっていました。金色のクラゲが真の姿で不都合が生じるわけでもないし、最後まで真の姿は見せないというやり方だってあったでしょうに、なぜこんないらないサービス精神を見せてくれるのでしょうか。


せっかく姿の見えない敵と人類が戦う、というおもしろそうな設定なのだから、もっといいものができたのではないかと思います。もう少しがんばってほしい作品ですね。
でも、いいところもあったし、イロモノSFは嫌いじゃないので、それなりに楽しめましたよ。


ウーマン・イン・ブラック/亡霊の館感想(ネタバレ)

ウーマン・イン・ブラック

原題:The Woman in Black
製作年/国:2012年/アメリカ・カナダ・スウェーデン合作
上映時間:95分
監督:ジェームズ・ワトキンス
製作:ブライアン・オリバー
原作:スーザン・ヒル
脚本:スーザン・ヒル、ジェーン・ゴールドマン
撮影:ティム・モーリス=ジョーンズ
美術:ケイブ・クイン
衣装:キース・マッデン
編集:ジョン・ハリス
音楽:マルコ・ベルトラミ
キャスト:ダニエル・ラドクリフ、キアラン・ハインズ、ジャネット・マクティア、リズ・ホワイト、ショーン・ドゥーリー

あらすじ
9世紀末のロンドン。愛妻を亡くし、失意のどん底にいた若き弁護士アーサーは、事務所の所長に命じられた仕事のため、ひとり息子をロンドンに残し、とある田舎町に赴く。その町で最近他界した老夫人の遺言状を見つけ出さなければならないアーサーは、老夫人が住んでいた館に足を運ぶ。しかし、沼地に建つ館には異様な雰囲気が漂い、謎めいた黒衣の女がたびたび出没。やがて館の忌まわしい過去と、町の子どもたちが相次いで変死している事実を探り当てたアーサーは、恐るべき呪いの連鎖に巻き込まれていく。(映画.comより)


72点

ホラー映画を観たことのない人間が、ゴシックホラーに挑戦するよ!!

tukiwaさんに「ウーマン・イン・ブラック観ねぇの?(*´・v・`)」とのネタフリをいただいたので(違う)、人生初のホラー映画鑑賞としゃれこみました。
ということで、ホラー映画はガチ初心者なので、いろいろ的外れなことを書いてしまうかもしれませんが、ご容赦くださいませ。


め っ さ 怖 か っ た ! !
とは言っても、「怖かった!」とはしゃいで楽しめるレベルの怖さでした。確かに怖かったですが、怖さは割とマイルドで、私のような怖いのが苦手なホラー初心者も楽しんで観れますよ。

やっぱり恐怖の対象がはっきりと見えないというのが、一番恐怖心を煽りますね。
ちらっと見える影とか、がっつんがっつんと誰も座っていないロッキングチェアが揺れるとか、窓についている手の跡に触れると「ギャー」ってなるところとかは本気で怖かったです。

逆に、BGMがガンガン鳴って何かが近づいてくるところや、沼からナサニエルと思われるものが出てくるところ、ジャネットがナサニエルの死体の方にぐわっと近づくところは、あまり怖くなかったです。むしろ醒めるくらいのテンションでした。なにが来るのか大体わかってしまうんですね。
とはいえ、これらのシーンもきっちり怖いと耐えられなかったと思います。或る意味バランスをとっていると言えます。本気で怖いシーンも「あ、これ以上怖くなったら気が狂うわ」となる一歩手前で引き返してくれるので、全体的にバランスはいいのかもしれませんね。

次第に怖くしていく過程も上手でした。
初めは、びっくりさせる演出によるもので、さしてホラー的な怖さはありません。最終的には幽霊や呪い以外の説明がつくタイプの話かと思ったくらいです。しかし、油断していると、しっかりホラー的に怖くなっていきます。そして、あれよあれよという間に恐怖の中に突き落とされ、半泣き状態にされますよ!

ゴシック調の画面もよかったです。
服装や潮の満ち引きによって孤立する呪われた館は、かなり雰囲気出ていました。ダークかつ不吉な感じがよく出ていたと思います。馬車が十字架の横を通るシーンや子供が死ぬシーンなんかは美しさすら感じる仕上がりになっていましたね。また、ラストの死の世界の描写は、気温が低そうとか全体的に青いとかベタなものではあるけれども、全体のゴシック感とよくマッチしていました。

ストーリーもよかったですね。イールマーシュの館にまつわる因縁が明らかになっていく過程はわくわくしましたし、デイリー夫人の「こっち側」と「あっち側」を行き来するキャラクターもよかったです。
特によかったのはラストの展開です。ジャネットがナサニエルと再会して満足したという展開だったら、テンション下がったと思います。あのラストは私は気に入っています。
このラスト、ジャネットがナサニエルと再開させてくれた恩返しとして、アーサーに妻と息子と過ごすことができるようにしてくれたと見てもいいですが、単にジャネットがまだまだ子供を死なせ続けていると見てもおもしろいですよね。アーサーは、ジャネットはナサニエルと再開すれば満足すると考えているけれど、死者に生者の理屈は通用せず、その後もジャネットは子供を死なせ続けている、という絶望ラストです。私はこっちの方が好みですね。ホラーの一番の醍醐味は、「こっち側」の理屈が「そっち側」に通用しないという点にあると思います。そこが恐怖のポイントですからね。

確かに、イールマーシュの館について、後半になるまでデイリーさん以外の村人がアーサーに何も言わないのはおかしくね?とか、沼からナサニエルの霊的なものが出てたんだから、いまさらジャネットを死体に会わせてもなにもならないんじゃね?とかツッコミどころはありますが、それを補って余りあるほどの恐怖で話をひっぱってくれたと思います。

その他の点について
・ダニエル・ラドクリフがパパン役ってすごい。私と大して年が変わらないのにあの貫禄。
・なぜか最近結婚指輪を見ると妙に萌えてしまう。
・3サルって西洋にもあるのね。
・迎えに来てくれるって言ってるんだから、徹夜しないで素直に帰っとけよ!まじで!!
・ガチで怖くなったら、「この人は本気になれば魔法使えるから大丈夫」って思えば耐えられます。


私はホラー映画はダメだと思っていましたが、これくらいなら楽しんで観ることができました。ホラーの入門編としては丁度いいのではないでしょうか。おすすめです。
背中を押してくれたtukiwaさんに感謝です。ありがとうございました!


メリエスの素晴らしき映画魔術&月世界旅行感想(ネタバレ)

メリエス

原題:LE VOYAGE EXTRAORDINAIRE
製作年/国:2011/フランス
上映時間:78分
監督:セルジュ・ブルンバーグ、エリック・ランジ
キャスト:トム・ハンクス、コスタ=ガブラス、ジャン=ピエール・ジュネ、ミシェル・ゴンドリー、ミシェル・アザナビシウス、ジョルジュ・メリエス

あらすじ
もともとマジシャンだったジョルジュ・メリエスは、リュミエール兄弟が発明した映画初の観客の一人となる。その新しい技術に夢中になった彼は、世界初の職業映画監督になることを決意。やがて苦労の末、1902年にストーリーテリングの要素を盛り込んだ革新的なSF映画『月世界旅行』という作品を発表。また、本作にはSF作品の世界観が表現されており、後に登場するSF映画の基礎となっている。(シネマトゥデイより)


90点

2か月ほど前に観た作品なのですが、今を逃すと感想を書く機会がなさそうなので、記憶をさぐりつつ書きます。

前半はジョルジュ・メリエスによる特撮・SF映画の誕生を中心に据えた、映画創世記の歴史を振り返るドキュメンタリー、後半はメリエスの代表作品「月世界旅行」の彩色フィルム復元のドキュメンタリー、最後に彩色フィルムのリストアバージョン「月世界旅行」という構成でした。

少し、ジョルジュ・メリエスについて紹介しておきます。
ジョルジュ・メリエスは、20世紀初頭に活躍した映画監督で、世界初の職業映画監督と言われています。もとは、マジシャンとして自分の劇場を経営していたのですが、30代の時に映画の父と呼ばれるリュミエール兄弟の映画を観て、映画製作をはじめることになります。


メリエスが活躍した20世紀初頭の映画創世記ドキュメンタリーはとてもおもしろかったです。
メリエスが、機材の故障というちょっとした偶然から特撮の手法を編み出したというのは興味深かったですね。そこから様々な創意工夫と気の遠くなるような手作業によって、メリエスが幻想世界を創り出していく過程はとてもわくわくしました。メリエスがマジシャンという出自を生かして、びっくり箱のような映画を作り出していくのを見ていると、映画は楽しむものだという本質が改めて思い出されます。映画を観ている人の笑顔もよかったですね。

カラーの撮影技術以前から、カラー映画があったのには驚きました。フィルムに直に色を塗るという方法でカラーにするんですね。色を塗られたフィルムの映像はとても幻想的で、写実的絵画が動いているのを見ているような気分になりました。そのカラー技術とメリエスの奇術師らしい映像が組み合わせられると、テリー・ギリアムのアニメーションを思わせる、幻想性の中に毒のある作品になっていて、短いながらもはっとする瞬間の連続でした。

メリエスが、夢破れて自分のフィルムを燃やしてしまうところは、心が痛みました。映画の商業としての側面やライバルとの関係で、映画の新たな時代を創ったその人が没落してしまったのは、本当に惜しいことです。

このパートで少しよくないと思ったのが、再現映像です。ここでは、19世紀後半から20世紀初頭にかけてのメリエスの時代が中心になっているのですから、現代テンションの再現映像を使われると、気分がさがってしまいます。後半の現代ドキュメンタリーにも映画創世記のフィルムをちょいちょいはさんでいたのだから、同じように映画創世記のフィルムを使ってシーンをつないだ方がよかったと思います。


後半の「月世界旅行」のリストア作業のドキュメンタリーでは、現代の職人魂に心を撃ち抜かれました。「困難なことはすぐにやれ。不可能なことは少し時間を。」という言葉にシビれました。かっけぇ!!
フィルムが失われつつある、というのは悲しいことです。前半のドキュメンタリーにあるような苦労を重ねて作られたフィルムが失われているのを後半で見せられると、一層重く心に響きました。

古くなってしまったフィルムを再現させる作業も、前半の映画創世記の映画作製シーンと同じくらいわくわくしました。こちらもやはり気の遠くなるような手作業と、そして今度はデジタル技術も加えて、古いフィルムに新たな命を吹き込むんですね。映画を愛する気持ちは、映画創世記から変わらずあるんだと思えて、うれしかったです。


「月世界旅行」の彩色バージョンもとても幻想的で美しかったです。
「月世界旅行」は無声映画なのですが、私がシアター・イメージフォーラムで観た回は、この「月世界旅行」に柳下美恵さんのピアノ生伴奏がついていました。柳下美恵さんは、シネマピアニストといって、サイレント映画に伴奏をつけるピアニストさんです。柳下さんの演奏は素晴らしく、メリエスの幻想世界にぴったりでした。

無声映画もいいものだと思いました。セリフがない分、様々な動きや仕掛けで魅了されます。メリエスが幻想世界をつくりだしたのには、メリエスが映画製作をしていたのが無声映画の時代だったというのも大きいのかもしれません。そういえばギリアムのアニメーションもセリフがないものが結構ありますよね。


映画のよさや、どうして映画を愛さずにはいられないのかを心に訴えかけられる作品でした。映画の歴史なんかも垣間見ることができて、おもしろかったですよ。おすすめです。


ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔<スペシャル・エクステンデッド・エディション>感想(ネタバレ)

the lord of the rings

原題:The Lord of the Rings: The Two Towers
製作年/国:2002/アメリカ
上映時間:223分
監督・製作:ピーター・ジャクソン
製作:バリー・M・オズボーン、ティム・サンダース
製作総指揮:マーク・オードスキー、ボブ・ウェインスタイン、ハーヴェイ・ウェインスタイン、ソウル・ゼインツ
撮影:アンドリュー・レスニー
音楽:ハワード・ショア
原作:J・R・R・トールキン
キャスト:イライジャ・ウッド、リヴ・タイラー、イアン・マッケラン、ヴィゴ・モーテンセン、ケイト・ブランシェット、ビリー・ボイド、オーランド・ブルーム、クリストファー・リー他

あらすじ
旅の仲間は3つに別れ、メリー(ドミニク・モナハン)とピピン(ビリー・ボイド)はオークに追われ巨人エントに助けられる。アラゴルン(ヴィゴ・モーテンセン)、レゴラス(オーランド・ブルーム)、ギムリ(ジョン・リス=デイヴィス)はメリーとピピンを追いかけるうちにガンダルフと再会を果たす。一方、フロド(イライジャ・ウッド)とサム(ショーン・アスティン)は滅びの山への道のりでゴラムに襲われるのだが……(シネマトゥデイより)


97点

※思い入れ補正がかかりまくっています。あまりうのみにしないでくださいね。あと今回結構長いです。

先週に引き続き、新宿ピカデリーで「ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔」のスペシャル・エクステンデッド・エディションを鑑賞してきました。
今回は金曜日に鑑賞してきたのですが、客席は平日にしては結構埋まっていましたよ。


さて、「ロード・オブ・ザ・リング」はホビット族のフロドが、悪の力を持つ指輪を捨てに行く物語で、「二つの塔」は、その物語の第二部にあたります。「旅の仲間」のラストで、仲間たちは、フロド・サムの指輪組、メリー・ピピンの捕えられたホビット組、アラゴルン・レゴラス・ギムリのメリー・ピピン救出組の3つにわかれ、「二つの塔」ではそれぞれの旅路が描かれることになります。

そのため、「二つの塔」ではストーリー進行の上で困難になる点がいくつかあります。
まず、3つのストーリーをバランスよく入れながら、それぞれのストーリーが混乱しないようにしなければならないという点です。特に、3作目「王の帰還」と違って、「二つの塔」はフロド・サム組以外は直接は指輪を捨てに行くという大きなストーリーに関わってこないので、メリー・ピピンのストーリー、アラゴルン・レゴラス・ギムリのストーリーがノイズにもなってしまいかねません。
そして最大の問題は、ストーリーの終結の仕方です。ストーリーラインが3つにわかれてしまった上に、そのどれも完結しないため、終わりかたによっては大変に中途半端で未消化感の多いパートになってしまいます。これは、「二つの塔」に限らず1つのストーリーをいくつかのパートに分けた映画では起こりうる問題ですね。

しかし、これらの点はしっかりクリアされていました。
画的に盛り上がるところは、むしろアラゴルン・レゴラス・ギムリやメリー・ピピンのストーリーの方に集中させ、フロド・サムのストーリーだけでは退屈してしまうところを盛り上げつつ、ノイズになるサブストーリーにならないようにしていました。
2つ目の問題もなんなくクリアできています。3つのストーリーそれぞれのクライマックスをラストのほぼ同じタイミングにもってくることで、ひとつの物語としてのオチがしっかりついていました。アラゴルン・レゴラス・ギムリ組のヘルム峡谷での勝利、メリー・ピピン組のアイゼンガルド水攻め、そして、そこまでは画的な盛り上げがなかったフロド・サム組もオスギリアスのナズグル戦でしっかりと盛り上げてくれました。


また、2作目特有の魅力もよく出ていましたよ。
私は、シリーズものの途中のパートの魅力は、新たに出てくる脇役だと思います。1作目では主人公まわりの登場人物を説明しなくてはなりませんし、最終作では新たな登場人物を出すのは難しいです。その点、途中のパートは新たなキャラクターを出しやすいんですね。そして、この新しいキャラクターをいかに魅力的に描くかが、途中のパートの1つのキモになってくると思います。例えば、「マトリックス」シリーズでは、「マトリックス リローデッド」のザ・ツインズやセラフがいい味を出していましたよね。

「二つの塔」の新キャラといえば、ローハンの盾持つ乙女ことエオウィンですよね。
エオウィンの武芸に秀でているのに、戦いに行くことができないことについて不満を感じているというキャラクターを表現できていました。剣を持っている時のキリッとした表情はとてもよかったです。また、映画版で追加された、料理が下手という設定はよかったです。アラゴルンがシチューを食べようとするけど、ちょっと口から出ちゃってるシーンは好きです。野伏のアラゴルンが捨てようとするって相当だよw(でも本人が目の前にいるとちゃんと食べるんですよね。アラゴルンまじ罪つくり。)

ゴラムは、「旅の仲間」で登場していましたが、活躍するのは「二つの塔」からですね。
なんか、フロドとサムとゴラムがいると、フロド=妻、サム=夫、ゴラム=間男的な感じになっていて、おもしろかったですw
ゴラムは、指輪によって心を蝕まれており、人格が分裂した状態になっているのですが、この人格分裂描写が素晴らしかったです。ゴラムが自分の中の悪しき部分を追い出すシーンでは、初めは1人で自問自答している描写になっているのですが、次第にゴラムがいいゴラムと悪いゴラムの2人いるかのような描き方になり、悪いゴラムが追放されます。しかし、また悪しき部分が戻ってくるシーンでは、初めは2人のゴラムがいるような描写になっているのに、次第にいいゴラムと悪いゴラムがボーダーレスになっていき、ゴラムが1人で自問自答している描写になっていきます。ゴラムの内面をこれ以上ないほど綺麗に説明しているシーンだと思います。

そして、私のお気に入りキャラはファラミア様です!!
ファラミア
キャー!ファラミア様素敵!!これは王の帰還の画像ですが。

スペシャル・エクステンデッド・エディションでは、ファラミアの回想シーンが追加されていましたよ。
執政家兄弟
執政家兄弟。おそろいの白の木の甲冑がいいですね。わかってるな。

ファラミアの原作からの大幅改変には、公開当時から賛否両論あったところですが、私はこういうファラミアもいいと思います。
原作のファラミアは、指輪の誘惑に屈しない高潔な人物として描かれています。しかし、映画版のファラミアは、人間臭い部分が前面に出ていました。初めは、兄のボロミアと同じように指輪を利用しようとするんですね。私はこちらの展開もいいと思います。初めは兄と同じ道をたどるかのように見える描写を入れることで、彼自身の選択によって兄とは違う道を行くというのが表現されていました。ラスト、フロドの前に膝をつくシーンはサムのセリフ通り、ファラミアの人柄がしっかりと示されていましたね。
また、どこか憂いを秘めた面持ちが素敵でした。ようするにとんだイケメンなんですよ!ゴラムに「フロドとサムの身になにかあったら命はないと思え」と言うところは、遊撃部隊隊長の貫禄が出ていましたね。私もあんな風にファラミア様に守られたいですw


アクションもよかったですね。
相変わらずカメラがブレて見にくいとか言いたいことはいろいろあるのですが、ヘルム峡谷の合戦シーンは素晴らしかったです。
この合戦シーンのいいところは、異なる種族は異なる戦い方をするところです。エルフの弓の構え方と人間の弓の構え方が違ったり、「撃て」という指示が、エルフ語バージョンと人間語バージョンの2種類あるなど芸が細かくて感心します。さらに、アラゴルン・レゴラス・ギムリの三人の戦い方の違いもおもしろかったです。特に、レゴラスが盾をスケボーみたいに使いながら弓を射るところ、ギムリがアラゴルンに投げてもらって敵のど真ん中に飛び出るところはそれぞれの種族の特性を生かして戦っていてよかったです。
また、この大変な合戦の中でも、コミカルな部分があったのもいいですね。レゴラス、ギムリが倒した敵の数を競ったり、ギムリがアラゴルンに投げてもらうときに「レゴラスには言わないで」と言うなど、ただただ暗い合戦にしなかったのはとてもいいバランス感覚だと思います。このシーンに限らず、本作はコミカルなシーンが多く、全体的にいいバランスになっていました。


単なる最終章へのつなぎになっておらず、単体の映画として楽しめる作品になっていました。とてもよく作りこまれており、指輪物語ファンとしても納得の出来です。素晴らしい出来だったと思います。おすすめですよ。


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ぞるたん

Author:ぞるたん
映画が好きです。
映画歴は短いので、旧作の知識はあまりありません。おすすめ映画ありましたら、ぜひ教えてください!

映画もブログも超初心者ですが、どうぞよろしくお願いします。

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