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トータル・リコール(1990) VS トータル・リコール(2012)

トータル・リコール(1990) トータル・リコール(2012)

フィリップ・K・ディックの短編小説「追憶売ります」を原作に映画化した作品です。1990年版、2012年版ともにいいところがあって、どちらも楽しめましたよ。
それでは、さっそく比較してみたいと思います。


1. 設定
1990年版は、地球と地球の植民地の火星が舞台となっています。対する2012年版は、化学兵器を使用した世界大戦のために大部分が居住不能となった地球が舞台となっていて、富裕層の住むブリテン連邦が貧困層の住むコロニーを搾取するという設定になっています。
この舞台設定については、2012年版の方が私好みですね。地球の一方には富裕層がいて、その反対側には貧困層がいる。そして、富裕層が貧困層を搾取するという構図は、現代の格差社会を極限まで押し進めた形になっていて、地球の未来の設定としてリアルでした(最近こういう設定ばっかりだという不満はまた別にあるのですが)。また、ブリテン連邦とコロニーを結ぶ「フォール」もよかったです。冒頭の、重力反転シーンはかなり気に入りました。外が明るくなり、ダグが読んでいる「007/私を愛したスパイ」の本がふわっと浮かび、機内がぐるっと反転するのですが、一瞬無重力になるという宇宙ものっぽいSF感がたまらなくいいです。
1990年版も全く悪くないですよ。火星という全く違う惑星を舞台にすることで、そこでのアクションにわくわくが生まれるし、空気を供給するものが火星を支配するという設定にもリアリティが出ていました。

というわけで、私の好みになってしまいますが、2012年版の勝利です!


2. ストーリー
設定はだいぶ異なっていますが、大まかなストーリーは変わっていません。しかし、改変されたところも結構あります。

まず、冒頭のリコール社でのシーンです。ダグは、1990年版では一度記憶を植えつけるために眠らされますが、2012年版では眠らされる前に異変に気づきます。小さな改変ではありますが、ストーリー上大きな意味をもつ改変だと思います。
すなわち、1990年版は、本当は全てダグがリコール社の装置で見ている夢なのかもしれないという可能性を残したままストーリーが進行します。ラストシーンがホワイトアウトするのも、全てが夢だという示唆とも受け取れ、夢と現実の境界が曖昧になっています。これに対して2012年版は、全てがダグの夢という可能性が低いんですね。ダグが目を覚ましているうちに、記憶の植えつけははっきりと失敗しています。なので、中盤にハリーが「これはリコール社で見ている夢だ」と説得に来る展開がどうも奇妙です。また、1990年版の夢と現実の区別がつかない世界観が気に入った私としては、少し残念な改変でした。

ラストの展開も改変されていましたね。1990年版は、全てがダグ=ハウザーの仕組んだ罠で、ダグは自らの罠にまんまと嵌った形になります。実はハウザーはコーヘイゲンと手を組んだ人でなし野郎だったとわかるわけです。2012年版では、ハウザーはただコーヘイゲンに利用されていただけでした。展開としては、1990年版の方がスリリングですよね。また、もともとハウザーが改心してレジスタンスに協力していたという2012年版より、下衆野郎ハウザーとしての自分=本来の自分を拒否するという1990年版の方が、「自分の在り方は、今の自分の選択によって決まる」という物語のテーマとも合致していると思います。

圧倒的に1990年版の勝利です!


3. 主人公
主人公については、断然2012年版に軍配を上げたいですね。
筋肉おばけのアーノルド・シュワルツェネッガーよりも線の細いコリン・ファレルの方が、「俺が諜報員…ってマジかよ!?」感があっていいです。シュワちゃんが敵をばったばった薙ぎ倒していっても、あんまり違和感がないんですよね。対して、コリンがいきなり武装警官を倒しちゃうと、「あれ、俺にこんなことできるわけないのに身体が勝手にーー」というのに説得力があります。
また、自分のアイデンティティに悩む主人公という観点からも、コリンの方がハマっていたと思います。シュワちゃんはどうもアホっぽいため、そういう繊細な役柄にはイマイチな気がしました(もちろんこれはシュワちゃんが悪いわけじゃないですよ。念のため)。2012年版の中盤、ダグがハウザーのアパートに行くところで、ダグは弾けないはずのピアノが弾けてしまった後の、泣いているような笑い声をあげるシーンは秀逸でしたね。コリンでなければこのシーンは成立しなかったと思います。

というわけで、2012年版の勝利です!


4. その他の登場人物
これも断然2012年版ですね。だってローリーa.k.a.鬼嫁がすばらしかったんだもん!!
おそらく、このケイト・ベッキンセール演じるローリーの鬼嫁っぷりに痺れてしまった人は多いのではないでしょうか。とにかくしつこい!こわい!鬼嫁
夫(実際は結婚していないのだが)を本気で殺しにかかってくる鬼嫁。

コーヘイゲンの陰謀がつぶされ、コーヘイゲンが殺された後もダグを殺そうとしてきたシーンにはもはや笑ってしまいました。鬼嫁の鑑です。
1990年版のマイケル・アイアンサイド演じるリクターの中間管理職的なヘタレおやじキャラもよかったのですが、このキャラをローリーに一本化するのはいいアイデアだったと思います。おかげでローリーのキャラが濃くなったし、メリーナとのキャットファイトも見れたしで、最高でした!
1990年版も、ミュータントなタクシーの運転手ベニーや、ちょっと気色悪い反乱分子の首領クワトーなど、いいキャラクターはたくさんいたのですが、やはり鬼嫁のインパクトには敵いませんね。

というわけで、2012年版の勝利です!


5. ビジュアル
これは甲乙つけがたいですね。1990年版にも2012年版にもそれぞれのよさがあったと思います。
1990年版のいいところは、何といっても悪趣味さですよね!冒頭の目玉が飛び出すシーンにすっかりやられてしまいました。その他にも、おっぱい3つのミュータント(これは2012年版にも出てきましたよね)、クワトーの正体、リクターの腕がもげるなどなど、バーホーベンらしい悪趣味さが前面に出ていてよかったです。この点、2012年版はすっきり綺麗にまとまってしまっていたかなぁという印象です。
2012年版のいいところは、街の描写です。コロニーのディストピアSF的世界観と、ブリテン連邦の夢の近未来的世界観が街の造形に反映されていてよかったです。私はディストピアSF的な街の造形が大好きなので、雨のコロニーの風景にぐっときてしまいました。1990年版は、未来感があるんだかないんだかで、中途半端に感じてしまいました。家のテレビは壁と一体になっているタイプなのに、電車の中にブラウン管のテレビがあったりして、イマイチどういう世界観なのかわかりませんでした。

とても迷うところなのですが、私は1990年版を推したいです!1990年版の勝利!!


6. アクション
これも甲乙つけがたいです。シュワちゃんの大味アクションも、コリンのキレのあるアクションもどちらもよかったです。シュワちゃんの筋肉が大活躍なアクションが見たければ1990年版、カーチェイスや縦横無尽に動くエレベーターでのアクションなどひねりの効いたアクションが見たければ2012年版、といったところでしょうか。
しかし、どちらか片方を選べといわれたら、私は2012年版を推します。なぜなら、ケイト・ベッキンセールとジェシカ・ビールのキャットファイトが見れるからです!!あと、アクション映画に爆発は不可欠主義者としては、フォールの爆発シーンもよかったです。劇場で観たかったなぁ。

よって、2012年版の勝利!キャットファイト最高!!


7. 総合
初回からかなり難しい勝負になってしまいました。
自らの選択によって自らの在り方を切り開いていく、という物語のテーマの描き方としては1990年版が優れているし、意味もなくグロいところなんかも1990年版だからこその持ち味ですよね。他方、2012年版は全体的には薄味なのですが、私の好みにぐさぐさくるポイントが多かったです(掌の銃創のくだりなんかは、安っぽいなぁとか思いつつ悶えてしまいました)。あと何度も言いますが、鬼嫁がすごくよかった

非常に難しい勝負だったということを前置きしつつ、私は1990年版に軍配を上げたいと思います。

トータル・リコール(1990)の勝利です!


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comment

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目的が異なる

こんばんわです。

なるほど~と頷くことしきりの記事でした。
私はシュワ版しか観てなくて、かつ、今ひとつ作品の
世界観についていけなかったクチなんですが、御記事
拝読して、がぜんファレル版に興味沸きました。

ケイト・ベッキンセイルVSジェシカ・ビールのドンパチも
イイですねえ。どっちもファンなんです。本音はこの
キャットファイトが目当てだったりして…。

てなことで、ありがとうございました。お邪魔しました~

No title

>ふじつぼだんきさん

こんばんは。コメントありがとうございます!

1990年版はバーホーベン色が前面に出ていて、とにかくクセが強いと感じました。
めちゃくちゃ悪趣味ですよねw

なので、1990年版がどうも苦手だという方は、2012年版だと俄然楽しめると思います。
アクションは現代風で、ビジュアルもとてもスタイリッシュです。
ケイトとジェシカのファンなら、キャットファイトシーンだけでも満足できることうけあいですよ。

ぜひ、2012年版トータル・リコールもご覧になってください!
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ぞるたん

Author:ぞるたん
映画が好きです。
映画歴は短いので、旧作の知識はあまりありません。おすすめ映画ありましたら、ぜひ教えてください!

映画もブログも超初心者ですが、どうぞよろしくお願いします。

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